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▼バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲):詳細

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
カザルス(パブロ)(アーティスト), バッハ(作曲)

▼クチコミ情報

・「通ぶる人たちだけが高評価
この曲を復活させたという、パブロ・カザルス。いらぬことをしてくれたものだ。チェロを抱えた人が、しかめっ面をして、なにやらギコギコと音を出し続けるのは、それはそれで滑稽な光景だが、バッハのこの曲はいかにも退屈すぎる。たかだか、チェロの練習曲にしかならない曲を、もったいぶって演奏していること自体が笑いのネタにしかならないだろう。この曲がすばらしい、あるいはこの演奏がすばらしいと思っている人は、「すばらしい」という言葉に酔いしれているだけだ。

・「自分は修行不足?
世評が高いカザルスの無伴奏チェロだが、何回聞いてもよくわからない。そもそも音楽にわかるわからないというのは禁物といわれるが、それでも、良さを把握しようとしたが、やっぱりわからない。結局良さを探そうとして聞くということ事態、本末転倒であることから、探求をやめてしまったのが実情。

もちろん当方はバッハが好きなので、曲に対してアレルギーはないが、この盤に関しては、残念ながらカザルスの曲に対しての執念のようなところは伝わるものの、バッハの面白さはよくわからなかった。音の問題でいえば(録音の古さということではない)、楽器を歌わせすぎる点に自分の不満がある。要するに一つ一つの声部が主張しすぎるため、単音で作り出す対位法の妙味が聞き取れないのである。本盤と対照的なビルスマの演奏では、「歌うのではなく語る」とあり、バッハの捉え方をもっとクールにとらえているため、かえって、バッハの本質が見通しよく提示されています。

カザルス氏の演奏は、この曲の過去の演奏者の恣意的な演奏効果だけに頼る演奏から脱却させたということで意味はある物の、現在のバッハの研究はさらに進んでおり、この盤が無伴奏の起点となることは認めるが終着点とするにはいささか、疑問のところがある。

無伴奏チェロを聞くのなら、これを購入することは否定しないが、他の盤も買わないと、一面的な見方になる可能性があるので要注意。したがって、これを買って気に入らなかった方でも、無伴奏に見切りをつけることはせずに他の演奏者を探してみてください。

・「至高の音楽
音の中に魂が融け込んでしまうような。そんな音楽/演奏は、あまりありません。目をつむれば、静かな森の木漏れ日の中にいるような感覚。心から好きな音楽/演奏は他にもありますが、何も考えたくない、何も感じたくない、何も聞きたくない、ただ休みたい、それほど疲れ切っているときに魂が受け付けることのできる、本当の疲れを癒してくれるのは、私にとって、カザルスのこの無伴奏組曲だけなのです。

・「ただ、感謝
色々なチェロの音色を聴いて、私は結局、カザルスの音色に行き着いた。カザルスの奏でるチェロの音色には、「永遠と一日」を感じる。どこまでも心が、やすらいでゆく。

・「一挺のチェロが歌いあげる音楽の、なんて豊かなんだろう。人類の遺産というべき名盤
 樹齢千年を超える古木のたたずまいを見るような、どっしりとして雄勁な演奏。今から七十年以上も前の録音なんだけれど、一挺のチェロから繰り出されていく音の逞しさ、微塵も揺るがぬ気迫といった風韻に、心を揺さぶられましたね。「流石に、名盤として語り継がれてきただけのことはあるなあ」と、パブロ・カザルスが紡ぐチェロの音、バッハの楽の流れに、深々とした銘酒の味わいを感じました。

 全6曲のなかでは、ハ長調の『第3番』と、ニ長調の『第6番』が、特によかったなあ。『第6番』の前奏曲やガヴォット1&2といった曲でのカザルスのチェロは、生き生きとしてダイナミック、おのずとにじみ出る風格と気品が漂っていて、本当に素晴らしかった!

 バッハのこの曲を聴いてみる気になったのは、過日、文庫で読んだある話の中で、この曲が流れていたから。「優雅で、切なくて、そよ風とも嵐ともつかない曲。そんな気がしません?」なんて、登場人物がバッハのこの音楽のことを語っていましたっけ。伊坂幸太郎の『死神の精度』(文春文庫)。未読のかたは、ぜひ!

 録音年月日は、次のとおり。■『第1番 ト長調』・・・・・・1938年6月2日■『第2番 ニ短調』『第3番 ハ長調』・・・・・・1936年11月25日■『第4番 変ホ長調』『第5番 ハ短調』・・・・・・1939年6月13〜16日■『第6番 ニ長調』・・・・・・1938年6月3日

・「素朴であり、限りなく深い
カザルス:「(無伴奏チェロ)組曲はアカデミックな作品と考えられてきた。テクニック一辺倒の、機械的で温かみのないものだと。考えてごらんよ!広がりと詩情が一点の曇りもなく輝きあふれるあの曲が冷たいだなんて、だれがいえるだろう!あの作品はバッハの本質そのもので、バッハは音楽の本質そのものなのに。」 (J.L.ウェッバー著「パブロ・カザルス 鳥の歌」、『バッハ』の項より抜粋)

カザルスによるこの曲の演奏は、心の芯の、そのまた芯にまで響き渡る、全人類必聴の超名演です。カザルスの奏でる奥深いチェロの響きは、巷に溢れる耳触りの良い、聴き易い音楽を聴き慣れている耳には、ぎすぎすした重苦しい音色に聴こえるでしょう。ですが、それは当然というもの。本当の魂の音楽というものは、心の底からそれを欲する時にしか、その素晴らしさを味わうことが出来ないからです。

カザルスは、音楽家史上稀に見る高潔な人格をもつヒューマニストでした。暴力や戦争を心から憎み、人間の愛の可能性を強く信じていました。そんな彼の思想や人柄が反映されたこの演奏には、人間の心の中にある最も神聖な「なにか」に強く訴えかける力が満ち溢れています。仮に、世界中の全ての人がこの演奏を聴き感動したのなら、世界は、良い意味で、もっと違ったかたちになっていたことでしょう。あなたがこの演奏を聴いて感動した時はきっと、人間として忘れてはいけない感覚―幼い頃、母の腕に抱かれていた時のような、懐かしく、限りなく幸せだった時の気持ち―を思い出すはずです。

・「古き音の向こうから聞こえる命の鼓動
 チェロは人間の声の音に最も近いと言われる。そのため最も自然に人間の耳に入り、心地よく響く。しかし、その歴史はヴァイオリンよりも地味で古今東西のチェロの名曲と言えるものは多くはない。その中でバッハの無伴奏チェロ組曲は最高の曲である。この当時、近代的なチェロは存在せず、ヴィオラ・ダ・ガンバやバリトンと呼ばれる現在のチェロには到底及ばない楽器が用いられていた。そのため独奏楽器としてはほとんど用いられず、ただ合奏の低音部を担う程度の役割しか与えられていなかった。そのような時代にバッハが独奏チェロのための曲を作った事は彼のチェロへの関心とこの楽器の魅力に対する先見の明があったと言えるだろう。この組曲はヴァイオリンソナタのような厳格な形式に依らず標準的な古典組曲の形に則っているが、内容は深く、紛れもないバッハの音楽である。そしてカザルスのこの演奏は彼の最高傑作のみならず、人類最高の遺産である。20世紀という激動の時代に自らの信念を貫き、最高のチェリストのみならず、最大の人格を備えた芸術家であった彼は後世に多大な影響を与えた。そしてこの演奏からは彼の命の鼓動が聞こえてくる。彼はこの曲の自筆譜を若き頃古本屋で見つけ、熱心に研究したという。その努力があたかも立派な樹木が地の下の見えない所に深く根を張っているように、冒頭のプレリュードから肺腑をえぐられるように心に響いてくる。このような演奏を聴くと自分の愚かさを思い知らされるようである。今現在の日本で僅かのお金を出してこの録音を簡単に買う事ができる時代になったが、果たしてそれで良いのかと思ってしまう。命を懸けてこの曲に取り組んだカザルスの命の鼓動を聴く側が安直な態度では決していけないだろう。こちらも可能な限り全精力を傾けて聴き、ようやくそこから何か得る事があるだろう。古き音の向こうから聞こえる命の鼓動を魂で聴くことによって。

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
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