バッハ:フーガの技法&クラヴィーア練習曲集第2巻
レオンハルト(グスタフ)(アーティスト), バッハ(作曲), アスペレン(ボブ・ファン)(演奏)
・「レオンハルトのベスト、バッハ演奏のone of the best」
「本当の」バッハを聴くならこの「フーガの技法」だと思う。何もかも剥ぎ取ったエッセンスとしてのバッハは、この演奏だ。ハルモニアムンディは音楽史のレーベルではアルヒーフ以上に粒が揃っているが、中でもこの演奏は自分が聞いた中では一番だ。でも、「バッハのエッセンス」なんて言うと、いかにも、堅苦しくて地味みたいな感じがするが、そうではない。たしかに派手ではないけれど、肩が凝ることも、退屈することも無い。気張らず衒わず、とにかく楽譜そのものに静かに対峙して、自分の呼吸で弾いていく。緊張感は強すぎず、しかし緩むことは無い、理想的な平静さで、聴き手を引き込んでいくかのような名演奏だ。個人的には、グールド盤に絶対に勝っていると思える「古楽演奏」だと思う。
・「レオンハルトの最高傑作のひとつ」
初期録音のひとつであるが、録音も優れているし、内容もレオンハルトの最高水準の演奏の部類に入る。 本曲集はバッハが演奏楽器を指定しなかったため、合奏やオルガン、クラヴィコードといったありとあらゆる楽器で演奏されている。レオンハルトはこれをチェンバロの曲として考えた。 この曲を弾くためには何よりもスコアを読む力、全体の構成力を考える力が必要になってくるが、チェンバロという楽器を通じて、レオンハルトはその優れた解釈能力を遺憾なく示している。同一テーマがさまざまに変奏されるという曲集だけに、旋律よりもバッハの展開の妙技を鑑賞するという側面を持っているが、対位法の作曲家であるバッハの特質を誰よりもよく理解しているレオンハルトにまさにぴったりはまった曲だと言えるだろう。 よって、すでに高い評価を受けた本アルバムは彼の代表盤のひとつと言える。アスペレンの好サポートも特筆すべきだろう。まるで一台のチェンバロで弾いているようにさえ聴こえる。オルガンで弾かれたグールドの演奏と共に、まず第一に指を屈しなければならない演奏だ。
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