・「行き着いたのがこれ」
凶暴なグラインドゴア→ドロドロのデスメタル→テクニカルなメロディックデス…とアルバム毎に音楽性を変化させ、最後に行き着いたのがこのアルバムである。 初期の彼らが好きなグラインドファンは3枚目辺りからとまどい、次の「Heartwork」でそのクリアさと流麗でメロディアスなギターワークに完全に幻滅し、逆にグラインドゴアなど見向きもしなかったHMファンが彼らに注目したのである。 そんな中、音楽的ポリシーもなく、グラインドゴアでもHMでも気にいりゃなんでも聴いてしまう人間は、そういった賛否両論を気にすることなく、毎回彼らのアルバムは愛聴し、「よくこんないろんなことできるんもんだ」と感心したりする。こういう人もいるのである。私がそうだ。 で、最後がこのアルバムである。 これはすごい。てっきり成功を収めた「Heartwork」路線で行くのかと思うと、今度はキャッチーなリフに支配されたヘヴィロックが目白押しなのである。 で、今度は「Heartwork」を聴き倒したHMファンから「速い曲がない」「流麗なソロがない」だのブーブー言われる羽目になってしまった。ファンってのはほんとに自分勝手なものだといつも思う。 というわけで、Carcassの作品群ではイマイチ低評価に甘んじているこのアルバム、はっきりいうが、決して駄作ではない。それどころかリフはキャッチーでよく練られていてかっこいいし、プロダクションもいい。なによりも彼らの「聴かせよう」という姿勢がよく見える(プロのミュージシャンなら当たり前だけども)好盤だと私は思う。
彼らのようなブルータル系のバンドのファンは「大衆性」というものを毛嫌いする傾向があるので(いろんな音楽がはこびる今となっては大衆性という言葉は死語に近いけど)、アルバムを作る度に音楽的な質の向上を目指し、その結果自然に「大衆性」を身に付けていったがためいろいろと非難を受ける羽目になってしまったCarcassは、今思うと可愛そうなバンドである。でもそういう声を一切無視してとうとうここまで行き着いた彼らはやはりかっこいいと思う。それと同時に才能溢れるバンドだったんだなあと、私は彼らのアルバムを聴く度に思ったりするのである。
ちなみにボーナス映像であるが、ライヴ映像にスタジオ曲をかぶせただけのもで別にどうってことのない出来である。わざわざボーナスとして収録することはなかったと思う。なので、★4つってことで。
・「全然イイ。」
1stから本作まで全部揃え、最後にこれを買ったのですが(評判が良くなかったので後回しに)、初期カーカスの勢いを期待してしまうと確かに物足りないものかもしれません。
しかし楽曲自体は良いものがそろっており、退屈は一切しませんでした。むしろ「ハートワーク」より楽しめた気がします。間違いなく、駄盤ではありません。
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