・「若き才能のきらめき」
「情熱大陸」で彼女の存在を知った。日本にも世界で羽ばたくこんな凄い才能を持った女性が出たことに驚かされると同時に、コンサートの途中で点滴を打ちながら頑張る姿を見て、この子の根性は半端じゃないなと感じた。アーティストもアスリートもいまや若い世界を相手に物怖じしない世代が出てきてジャパン、ジャパニーズそのものをブランド化するパワーを見せている。上原ひろみの場合も、ジャンルにこだわることなくテクノ・ジャズからクラッシック、日本の感性を伝えるメロディまで自然体でこなす。そのワイドレンジな多面性にはやや戸惑いを覚える人も多いことだろうが、そのこと自体が古い単線的進化論を否定する新しさなのであろう。アーマッド・ジャマルが電話で1分間、デモテープを聴いただけで惚れ込んだ才能は、僕にはジャマルのコンピングを彷彿とさせる共通点も感じたのだが・・・。いずれにしても今後が楽しみな逸材であることは確かだ。
・「ピアノは最高」
デビューアルバムは、若さゆえか力みすぎていて、騒々しさを感じるほどだったが、このアルバムは急速に大人になった感じ。ピアノ曲はどれも素晴らしいし、あらためてテクニックの価値を認識させられる。しかし、1曲目のような電子楽器(シンセサイザー?)を使った曲については、私は好きになれません。タイトル曲の最後に唐突に入る電子音も。上原ひろみにはピアノを弾いてほしい。もちろん、音楽は嗜好品なので逆の意見の方もいらっしゃるでしょう。でも、音も曲も魅力を感じない。良いアルバムですが、まだまだ満点にはしたくない、もっと進化して欲しいので★は三つです。なお、Green Tea Farmに「茶摘み」のメロディが入っていて、クスッと笑いました。
・「とりあえず最後まで聴き通すべし。」
Nord Lead の独特な音から幕をあける2nd ALBUM。
上原ひろみさんは人を驚かせるのが好きな人だな。と思う。wひろみさん本人も「ジャンルにこだわりはない。」と明言しているがこのCDを聴くほとんどの人はJAZZという切り口で購入して聴くことになるハズ。今となってはファンにはおなじみのT1「Kung-Fu World Champion」。重厚なノードの音から始まるこの曲にはやはり驚かされる。
しかしT1に驚かされて(もしくは好みではなくて)先に進むのをやめるなどという選択をした人は大変もったいない思いをする事になる。「Kung-Fu World Champion」以降の曲達はT6まで非常に繊細で歌心のある曲が続く。T4「Brain」の導入と最後ではNordが使われているがその音は曲の世界観を見事に描き出しているし本編のシリアスかつ壮大なイメージは後のSpiralを連想させる素晴らしい曲。
また、その後のライブでもたびたび演奏される事になるピアノソロの名曲Green Tea Farm が収録されているのもこのアルバム。優しく暖かな光がさしてくるように歌うピアノ。
でKeytalkの粘っこい Nord Lead にもう一驚き。w全体的なバランス感覚はさすがだなぁと。
兎にも角にも全編通して聴いてみないと始まらない。いい意味で前作「Another Mind」のイメージを残しつつ上原ひろみさんの新たな側面を見せてくれる第2作目。
・「進化する表現者」
デビューアルバムでは、楽曲しかり演奏しかり「その時点で最高の物を」という気負いが感じられたが(そして実際素晴しいアルバムであったが)、2枚目の本作では良い意味でゆとりが感じられる。結果として、デビューアルバムほどの驚きこそ無いが、楽曲や演奏を通してあらゆる物を投影させる表現力は確実に磨きがかかっている。
Kung-Fuで見せるユーモア。アジアンテイスト溢れる決めのフレーズは、前衛的でありながら親しみやすく1度聴くと頭から離れない。一転、Ifでは思考の輪廻倦ねる様を抒情豊かに表現する。全ての鍵盤に心を宿し会話させるという発想がユニークなKeytalk。本アルバムは、特に情緒的・内面的な曲が多く(大人しいということではなく、むしろ激しい)、聴くほどに味わいが増す。
上原ワールドを堪能できる1枚です。
・「「Green Tea Farm」に寄せて」
このアルバムに収録されている様々なタイプの曲を聴きますと、上原ひろみの意欲は買いますが、万人受けするピアニストではないというのもよく分かりました。冒頭の「Kung Fu World Champion」を聴いて他の曲を聴かない人もあるのかなと思いました。それでは少し残念で惜しい気がします。
6曲目の「Green Tea Farm」に彼女の良さが凝縮されているように感じました。ピアノ・ソロです。音は透明で、豊かな感性が、音と音との間に感じられるのは、その曲への思いがしっかりと詰まっているからでしょう。そこから伝わってくる抒情性は、作曲能力の高さを証明するようなものでした。
この曲は、故郷のお茶畠をイメージして作曲したというのをテレビで聴きました。日本情緒たっぷりの旋律と和声の中に、誰しもが思い描くような郷愁を感じさせるのは、ニューヨークでライヴ活動をしている中で芽生えた思いに違いありませんね。日本人の血といいますか、身体の中に流れている音楽の原点を見つめなおした曲だとも言えましょう。ラスト近くに♪夏も近づく八十八夜♪を紡ぐことによって、自分の内なる故郷への懐かしさを完結させました。名曲です。
・「コンポーザーとしての才能輝く!これからどこへ向かう?」
ピアニストとして歯切れの良いテクニックはもちろんながら、作曲家としての彼女のエネルギーを感じさせる一枚。やりたい放題の自由奔放なノースタイルが彼女のスタイルだと納得しました。ジャズピアニストとしての成熟なんて考えず、このまま何でもありで行きますよ!と宣言しているような気がします。ファン必聴の一枚。次のアルバムはどう進化するか、更に期待が高まる!!
・「才能満開」
現代の日本人女性ジャズピアニストの中で、一番輝いているのではないだろうか。テクニックは当然のこととして、なにしろ個性がある。初めて聴くと、演奏がどこに行くのか予想もつかない。予定調和的でないのだ。聴き終わると「あーそうきましたか。」とは思うが、どこに行くか本人以外知らない、予想を裏切る展開、それがずば抜けた才能のなせるわざと、聴き終わって感じる。こんなピアニスト今までいなかった。新作「スパイラル」はこの「ブレイン」で見せた才能をいっそう開花させている。日本だけでなく、世界的に評価されているのも当然だ。(松本敏之)
・「ジャズ、ロック、テクノ・・・溢れるイマジネーションからなるハイブリッド作品」
2004 年にリリースされた上原ひろみ の 2nd.アルバム。
ジャズに限らず巷の音楽の主流は(特に女性ヴォーカルの分野で顕著ですが)「癒し」がキーワードにあると思うのですが、この作品は、というか上原ひろみの音楽はそれとは正反対の「刺激」に溢れていると言えるのではないかと思います。
それは <1> 「Kung Fu World Champion」からもう全開で、JAZZ の世界にはない疾走感がそこにはあります。続く <2> 「IF...」 も、気持ちのいいグルーブを感じさせておいて、その "ノリ" に彼女のたたみ掛けるようなピアノがアクセントをつける、とても印象に残る曲です。一方で周囲の人々への Special Thanks 的な作品という <6>「Green Tea Farm」 はちょっとホッとできるナンバーとなっており、曲の終わり方もシャレていて楽しいです。←ネタばれしませんので聴いてみて!
昨今の音楽シーンでは、ジャンルにこだわらずにあらゆる要素をシームレスに取り込んで新しいスタイルを確立しようと試みるのが一種のブームとなっている感がありますが、この作品などはまさにその代表で、アーティストの才能(イマジネーション)とそれを具現化する技術とがガッチリ噛み合って生み出された意欲作だと思います。決して空気のような癒し系の音楽ではありませんが、単に奇をてらった印象やあざとさを感じるよりも、彼女の強い野心を感じます。古い殻を破って新しいものが生まれる時の力強さってこういう感じなんだろうな、と思えてくる一枚です。五ッ星評価:★★★★☆
・「ジャズではないジャズ・ピアニスト」
敢えて否定的なことを書かせて貰います。20世紀のジャズは発展的だった。コルトレーン、マイルス、ピアノではコリア、ハンコック、キース・ジャレット、ギターでは、パット・メセニー、バンドではウェザー・リポートなど等。何故これがジャズなのか分からない。表面をなぞっただけの陳腐な作曲。ピアノ・トリオならでの興奮度、ジャズのハートがない。もし一曲ずつばらばらに聞かせられたら、同じピアニストだとはわからない個性の無さ。今時はこれをジャズと呼ぶのだろうか。エマーソンやキング・クリムゾン、フュージョンとしたら分かるが、見かけと正反対のジャズの練習用のフレーズの羅列、ピアノのなりにしても前者の人達と比べて聞いたら、とても同列には並べられない。音楽は好き好きだからいいけれど、日本のジャズ・プロデューサーがちょっと見てくれの良い子でそこそこ弾ける子をスターにしたいのは分かるけれど、アメリカ、ヨーロッパで通用するのでしょうか。最後まで聞くのがやっとで二度と聞きたくないです。本人の今後の精進を期待します。
・「風変わりな曲が多い人」
聴いたことも無いような、風変わりな曲がある人です。1回聴くぶんには、おもしろいですが、繰り返し聴きたいという感じはあまりしません。普通のジャズ曲もありますが、全体を通すと、ちょっと疲れますので・・・。人気が急上昇しているようで、話題のアーティストと言えますので、1度聴いてみるべきとは思いますが。普通のジャズで、何度も繰り返し聴けるすばらしいアルバムとして、ベテランの木住野佳子の「ユー・アー・ソー・ビューティフル」を推奨しておきます。こちらは、何度も繰り聴きたくなるクオリティの高い普通のジャズアルバムです。
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