・「1980年12月8日」
ジョンが暗殺された。当時レコード(!)雑誌を毎月買っていてソロ・アーティストとなっていたジョンとジョージがほとんど同じタイミングでアルバムを出すことを知っていた。少しもったいない気がしたのをおぼろげに思い出す。現在、復刻されたこのアルバムはジョンが暗殺される前に雑誌の宣伝等に掲載されていたオリジナルのジャケットに差し替えられている。ジョンの死を発売直前に知ったジョージは一時仕事が手につかなかったそうだが、電光石火のタイミングでジョンの追悼曲「過ぎ去りし日々」(ポール・リンゴ参加)を挿入し、久々のビッグヒットを飛ばす。ビルボード2位だったと思う。ジョンの死後発売されたこのアルバムのジャケットは、レンガの壁をバックにジョージが微笑むカラー写真に差し替えられていた。ちなみに、このジャケット写真のアルバムは、今でもヤフオクなどでたまに出品されている。このアルバムの2年後、「Gone Troppo」を発表する。が、(嫌な言い方だが)ジョンの死をネタにビッグヒットを出した自分に嫌気がさしたのか、といぶかるほど全く宣伝活動をしなかったせいで、ビルボードチャートの120位程度までしか上昇しなかったように記憶している。ジョンの死を境に中学生から高校生になっていた自分にとって、ダブルファンタジーから、Gone Troppoまでの各アルバムは、思春期の思い出がオーバーラップする貴重なものとなっている。売れたかどうかに関わらず、みな素晴らしい曲ばかりである。
・「どうせなら差し替え曲をボーナストラックにして欲しかった」
"Somewhere in England"が当時のDark Horseレーベルの所属元,Warner Brothersからの圧力でGeorgeの意図を反映しないかたちで,ジャケット,曲を差し替えて発表されたことはよく知られた事実である(Johnの死と言うアクシデントもあったが...)。今回のジャケットは,その差し替えられたオリジナル・バージョンのものであるが,どうせなら,差し替えられた曲をボーナス・トラックとして収録するのが本来あるべき再発の姿ではないだろうか。アルバムとしての出来が悪くないだけに,少々残念。尚,プロモ盤のみで流通した本来の"Somewhere in England"のLP収録曲は次のとおり:
1. Tears of the Wall2. Hong Kong Blues3. Unconsciousness Rules4. Save the World5. Baltimore Oriole6. Life Itself7. Sat Singing8. Lay His Head9. Writings's on the Wall10. Flying Hour
・「All Those Years Ago」
製作の過程はとくわからないのだけれど、この製作中にジョンの暗殺があった。そういう中で、すばやく動いたジョージは、このアルバム全体の統一性を捨ててまで、ジョンにささげたのだろうと思う。 All Those Years Agoは、このアルバムの中で「浮いている」。 しかし、弟分としてジョンにまとわりついていた頃のことからジョンからひとり立ちしていくところまでを1曲にこめたのは、すごいと思う。
毎度のことだけれども、デジタル=レマスタリングという名の改編は止めてもらいたい。オリジナルをい聞かせて欲しい。
・「all those years ago」
「差し替え」エピソードのせいで「ジョージの意思が歪められた」としてマイナスイメージが付きまとう作品ではあるが、よく聴くと名曲ぞろいのアルバムだ。差し替え前の曲は確かに良いが(特にsat singingはいかにも彼らしい、メランコリックでかつ温かみのあるメロディーが光る佳作)、差し替え後の曲の出来も素晴らしく、ジョージの代表作のひとつとしてもおかしくないクオリティは備えている。いつも通りの落ち着いた甘いメロディーとヴォーカル、それにレイ・クーパーらのバックによるポップな味付け加減が絶妙である。特に「life itself」はインド風の音階に乗ったスライドギターにレイのきらびやかなパーカッションが絡み合う、ジョージにしかつくり出せない名曲だ。唯一惜しまれるのは、ジョンに捧げた叙情的な「all those years ago」が、ここでは本作のトータル性を落とす効果を出してしまっている点だ。確かにこの曲は名曲だが、リラックスしたポップソングが並ぶ本作には収録すべきではなかった。試しにこの曲を飛ばして全曲聴いてみるといい。全く印象の異なるアルバムとなる。全体として、まとまりに欠けるアルバムとなってしまった点は否めないが、各曲の出来はいいので、あまり好印象を持っていない人もじっくり聴いてほしい作品だ。
・「すばらしい」
ビートルズ解散直後の輝きから、70年代を通じ活動がどんどん地味になっていたジョージの80年に入っての傑作です。この後のゴーントロッポはひどいものですが、これは文句なしです。僕はクラウド9よりも好きです。ポールもリンゴも参加しています。
ただジャケットは当時発表時のものと変わっていて、その雰囲気がぜんぜん違うのが残念ですが、どうも、もともとこれが本来のジャケットらしいです。
とにかく間違いないです。
・「ジョージを偲ぶレクイエム」
このアルバムの良さは目に訴えるところ。ジャケットがジョージのいづしたものに変更されているところだ。アナログが全盛だった80年代、ジョン・レノンのアルバム「ダブル・ファンタジー」の帯の裏側に小さく宣伝がついていたことを知る人はどれだけいることだろう。私はこのアルバムを心待ちにしていたのにも関わらず、発表された時はジャケツトが変更されていて、少なからずがっかりしたのを覚えていた。高校生の時だ。今回の再発時のジャケットでアナログ盤を出してほしいものだ。CDとはまた違った味わいがあることを知っているから。20年後ジョンへの追悼歌が何時しかジョージの追悼かになるとは・・・・・。
・「ロング・バーションも入っています。」
ジャケットが、1980年12月にキャンセルされたアルバム・デザインに変更され、Save The World のデモ・バーションも収録されて感激しました。更に、2曲目のUnconsciousness Rulesは、キャンセルされたアルバムに収録されていた3:35のロング・バーションとなっており(1981年に正式にリリースされたアルバム「SOMEWHERE IN ENGLAND」の同タイトル曲の収録時間は3:04で、エンディング部分が短いなどの違いがあります)、感激は倍増。LPに慣れ親しんだ人にもお勧めの1枚です。
・「ジャケットは変わったけど」
どうしたの?って言いたくなるくらい、ジョージらしくないアルバム。ナンバーの多くは耳に入りやすいけど、聴き終わった後、印象に残らない。ワーナーの差し替え命令がよほど効いたのか、曲を「作らされている」印象が強い。流行を追わず、自分の納得できる曲をじっくり作るのが、この人の流儀なのに。アルバム全体としてのまとまりも希薄で、残念ながら、オールキャリアで最も内容的に劣る作品だと思います。ただ、その中にあって③と④は出色。特に③はシングルカットもされていませんが、彼の魅力が凝縮された、AOR的フレーヴァーの強い隠れた名曲。必聴です。もっとも、このアルバムの世界では浮いてしまっていますが・・・。
・「せっかくの再発なのだから・・・」
他のレビュアーの方も書いていらっしゃいますが、このアルバムに関しては、せっかくの再発で収録曲がそのままっていうのはどんなものかな~。
当初ジョージが用意したラインナップが、レコード会社の横暴で数曲入れ替えられた、というのは有名な話で、ファンとしては、このアルバムを「慈愛の輝き」路線にしたかった、というジョージの意図を純粋なまま聴いてみたかった。だいたい、収録曲のクレームの理由は「慈愛の輝き」が売れなかった、などという、たまたまその時代限りの評価だったわけだからさ~。今「慈愛の輝き」がこれだけ再評価されてるんだから! でも、いい曲はやっぱりある。「Life Itself」は亡くなったジョン・レノンのことを歌っているのは明らかで、僕はポールの「Here Today」と同じくらいこの曲が好きです。
・「本来の『SOMEWHERE IN ENGLAND』を…」
ワーナーによってジャケットと収録曲を改悪されてしまった悲運の「迷盤」。今回の再発に際して、あの意味不明で何を訴えたいのかイマイチわからなかったジャケットから念願のこれに戻されたわけだが、ジャケットだけ? なんて思ったりしてこれまたイマイチ納得がいかない。本来の収録曲も合わせて、ジョージが最初に完成させたヴァージョンを出すべきじゃないのか。アップテンポな曲に変えろと言われて書いた①や⑥なんか分かりやすい曲ではある。が、つくり笑いをしたときのような不自然さが付きまとっているのも確かだし、ロングヒットのドキュメンタリー映画『エベレスト』の音楽に採用されて「山といえばこのメロディー」という具合にすりこまれてしまった(個人的には)“超名曲”③が、アルバムの中で山というより谷になってしまっているような気もしてならない。軽~いノリを求めるならこれでもよいのだろう。しかし製作者が意図した本来の作品こそが第一義であるべきだ。アンソロジーなんかで“在庫処分”ではちょっと寂しい…
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