・「世紀の巨匠を聴かずして、、」
以前わたしはカザルスのLPを持っていて、聴こうとしましたが、どうしても努力が必要な録音で、何度も眠ってしまいました。バイオリンの無伴奏はハイフェッツの鮮やかなのがあるのでなじんでいたんですけど、、。 今回音のよさそうなヨーヨーマと比べて悩んだんですが、なじみがあって、かつ生演奏も聴いたことのあるロストロポーヴィチにしました。 音はデジタル録音で、素晴らしい深みのある演奏でした。 精神性も高そうです。精神性はそう簡単にわかるものでないと思いますが、やはり演奏者への思い入れがないと努力して聴く気にはなれないと思います。その点、ロストロポーヴィチなら安心、尊敬できる人で聴くことをお勧めします。
・「巨星堕つ」
本日2007年4月27日ロシア病院にてチェリスト・ロストロポーヴィッチは亡くなった。彼の偉大な足跡は音楽に止まらずソ連時代の弾圧で市民権剥奪されようとも人権に目を向けたちずさんだ。自身の別荘に作家ソルジェニーツィンを匿ったことでも知られる。また、’91年8月の旧ソ連クーデター未遂事件では軍部隊に囲まれた共和国庁舎にエリツィン大統領らと立てこもった。自由を愛することと音楽を愛することは彼にとって同義だったのだろう。このような政治的闘志としての一面から懸け離れ、このバッハの無伴奏チェロ組曲について眺めてみるとカザルス以後のチェロを牽引しチェリスト中のチェリストともいうべき生き様を送ることになる記念碑的アルバムといえる。アルバムでは1番から4番5番2番3番6番という風に組み替えられている。オーソドックスに弾くならば1番から順序よくおさめるのが常套なのかもしれない。しかしながら彼のチェロを聴けば分かるが実にしっくりとドラマチックに胸に響くのだ。おそらく組み替えたことで未知なる新たな光が見えてきたのではないか?バッハの深淵に果敢に挑みながらも融け合っている音楽。透明感と相俟って内に秘めた燻ぶるような演奏には精神の随にまで芸術の究めんとするロストロポーヴィッチの魂の炎が垣間見られる。実におしい巨匠を失った。このようなスケールの大きい音楽家は現在探そうにも見つからない。世界の政治に翻弄されつつも音楽に生き抜いてきたひとつの時代の幕が確実に閉じられたように思う。巨匠という名の星はもう夜空に見つけられない。
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