アヴェ・マリア~シューベルト:歌曲集
ボニー(バーバラ)(アーティスト), シューベルト(作曲), パーソンズ(ジェフリー)(演奏), カム(シャロン)(演奏)
・「心洗われる歌声の美しいこと。これで千円ちょっとは、お買い得ですよ」
澄みわたる青空のような声の響き、よくコントロールされた歌唱力、ドイツ語の発音のクリアーで洗練されていること。バーバラ・ボニー(1956- )の歌うシューベルト(1797-1828)のリートは、思いのほか見事で、魅了されました。
収録された17曲のうち10曲が、ゲーテ(1749-1832)の詩につけたもの。同時代に生きたシューベルトのゲーテへの傾倒がうかがわれて、興味深かったです。ゲーテ・詩の作品の中では、まわる糸車を模したピアノ伴奏も印象的な「糸を紡ぐグレートヒェン」の歌唱がよかったな。
ほかの作品では、心癒やされる名品「アヴェ・マリア」と、清冽で静かな気品を湛えた「きみは憩い」、この二曲が素敵ですね。バーバラ・ボニーのソプラノがまた美しく、心の隅々まで綺麗になった心持ちになりました。
クラリネットのシャロン・カムが加わるのは、おしまいの「岩の上の羊飼い」のみ。シューベルトの死の直前の作品。<春がもうすぐやってくる 春こそはぼくのよろこび ぼくはすぐにも旅に出る その支度を済ませたところだ>のラスト四行には、目頭が熱くなってしまったなあ。
1994年4月、ベルリンでの録音。バーバラ・ボニーの素晴らしい歌がこれだけ楽しめて、それで1000円とちょっとの値段! シューベルトのリートを聴いてみたい方には、絶対お買い得だって思いました。
・「1814年10月19日」
バーバラ・ボニーは、見た目よりずっと若々しい声をしています。 ボーイッシュなショートカットがお似合いですが、声質もボーイッシュ・ソプラノ。
・「ミニョンの歌」
1994年に発売されてから何度も再発されているCD。確かこの年にカルロス・クライバーの棒で「ばらの騎士」のゾフィーを東京で歌ったっけな。チケットが高くて観にいけなかったけど。。。バーバラ・ボニーといえば、オペラもいいがやはりリートが素晴らしい。知性に裏づけされた清楚で心のこもった歌い口から、彼女の音楽に対する
真摯な愛情が感じられる。往年の名歌手によくある古い時代の歌唱法ではなく、洗練された発声がとても聴きやすい。パーソンズのピアノも歌にひっそりと寄り添って、互いに補いながらシューベルトの世界を築き上げている。
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