・「プログレ志向派によるアルバム」
「UT」発表後、バンドがハードロック志向派とプログレ志向派に分裂してしまい、これはそのプログレ志向派による作品である(ちなみに、ハードロック志向派のアルバムはNico Gianni Frank Maurizio名義での「Canti D'innocenza」というクエスチョンマークが目印のアルバムで聴ける。こちらもなかなかの好盤)。 聴いてみると、驚くぐらいオードソックスなシンフォニックなジャズロックであり、演奏・楽曲ともに完成度も高く、彼らの名盤の1枚に数えられてるのも納得である。 オードソックスとはいえ、かなりの気合を入れて製作したのがわかり、3における女性コーラスの導入、ムソルグスキーの「禿山の一夜」のロック的アレンジがユニークな4、ロマンチックな6など聴き所はたくさんある。またVoも親しみやすく、演奏も流麗であるので、プログレにありがちな難解さが希薄なのもいい。 「コンチェルトグロッソ」や「UT」で聴かれた叙情性は後退している感があり、それらの世界を好む人には不満が残るかもしれないが、純粋に良くできたアルバムであるのでシンフォニックなプログレを好む方にはおすすめしたい。 ちなみに余談になるが、この作品のあと、問題作であるライヴ盤「Tempi Dispari」を発表する。インプロヴィゼイション的なジャズロックが2曲という内容であるが、彼らのテクニカルな一面が見られるなかなかの好盤なので、このアルバムが気に入った方は聴いてみるのも一興である。
・「素直なプログレ」
イタリア出身のプログレ・バンドの’73年発表作。 前作から大幅なメンバー・チェンジを余儀なくされ、レーベルも一新して、再出発をはかり、その結果が吉と出た良質の内容となっている。 全体的なテンションの高さはそのままに、統一感が生まれ、まとまりのある、非常に分かりやすく、聴きやすい構成になっている。 テクニカルな演奏の中でも、クラシカルなメロディを損なわず、ドラマティックな展開のある楽曲の良さを上手く引き出している。 3人となったキーボード奏者、女性のコーラス隊、サックス、フルートも効果的に機能している。 ④のMUSSORUSKY「禿山の一夜 」のカヴァーもユーモアのある、面白いアレンジで聞かせてくれる。 生まれ変わったバンドの姿を、完成度の高さで存分にアピールしている見事な力作だ。
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