・「地味ながらも忘れ難い佳作」
コーラスってのは全く奥が深い。何人集まろうが聴き手にまるで魅力を与えぬお粗末な烏合の衆もあれば、僅か2、3人で各々の声質が相当に異なりながらも、ダイナミズム溢れる例え様のない魅力を醸し出す偉大な集団もある。三声コーラスの最高峰をThe Beatlesとした場合、二声であればSimon&Garfunkel(S&G)とするのが最も無難な線であろうが、Paul McCartney(PM)のペンによる傑作「愛なき世界」で名を馳せたPeter&Gordonも、決して見逃せない存在だろう。
あいにく幾つかの自作曲を残してはいても本質的に自作自演ユニットではないために、創造性の希薄さと共に彼等の存在意義も軽視されてしまいがちではある。それでも第4作目となる本盤には1966年というニューロック勃興期ならではの実験性に富んだ楽曲が詰め込まれ、その筋の好事家には愛聴盤となるだろう。全般的には同期の桜的存在「The Hollies」(②③④)、当時の最重要グループ「The Byrds」(⑨⑩⑮)の影響を臆面もなくさらけ出しているところが微笑ましくも興味深い。
また①は、Everly Brothersの正調イメージをぶち壊すWalker Brothers(WB)顔負けの気宇壮大なストリングス付き。⑪⑬も含め、あたかもScott Walkerが憑依したようなGordon Wallerの歌唱法に、当時のWBの影響力が偲ばれる。⑭はS&Gのストレートなカバーで、実は本作一番の聴き物と思う。以降の7曲は有難いボーナストラック。大ヒットしたボードビル調の⑰、同系統の⑱は確実にGilbert O'Sullivan(GS)に影響を与えているはず(作曲がGSを世に送り出したGordon Millsですしね)。PMに提供された名曲⑦、⑧⑮のシングル曲も完成度が高く、地味ながらも忘れ難い佳作として薦めたい!
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