Powers of Ten
Shawn Lane(アーティスト)
・「単なる速弾きギタリストではない」
「速弾きが凄い」「テクニカル」等といった、低い次元の言葉で評価してはいけないギタリストだと思います。
ギター雑誌のインタビューで「武満徹が好きだ」と答えていただけあって(日本人読者へのリップサービスかもしれませんが)、単なるロックギタリストにとどまらない幅の広い楽曲が収録されています。
全てのパートを自分でこなすマルチプレイヤーであり、「Powers of Ten: Suite」や「Piano Concertino: Transformation of Themes」のようなギター以外のパートを全面に押し出した曲をかけるのは、彼ぐらいではないでしょうか。
一方で「Get You Back」や「West Side Boogie」のようなキャッチーなギターインストも収録していたりします。
後半、「Esperanto」や「Gray Pianos Flying」の壮大さには言葉を失います。
・「速弾きだけというチープな括りをしては失礼なギタリスト」
1970年代後半、まだ十代半ばの若さでアメリカの音楽業界やギタリストの間で知られていた神童ギタリストのデビュー作。イングヴェイを発掘したあのマイクヴァーニーのシュラプネルからデビューする話もあったようだが、紆余曲折の末1992年、満を持してWBからソロデビューを果たした。このギタリストも音楽的バックグラウンドが想像以上に広く深く、その基礎はピアノを弾いていたときのものが大きい。本作発表の時点ではまだアーティストとしての明確な方向性は定まっていないが、その豊かな素養が幾つもみてとれ、ギターテクニックだけにこだわるような小さな器ではないことが既に証明されている。作曲能力アレンジ能力も申し分なし、夭折が本当に悔やまれる。邦版はリリースされず終いだが、真の音楽ファン、ギターファンなら聞いて損のない名盤だ。
・「ギターモンスターのソロ作品」
スウェーデン出身の超絶ベーシスト、ヨナス・エルボーグとの共演で知られる超絶ギタリスト、ショーン・レーンの数少ないソロ作品です。1992年の作品。
エルボーグとの作品を聴くかぎりは、彼のソロ作品ならさらに輪をかけた「弾きまくり状態」を期待するのが筋というものですが、ここで聴かれる一連のサウンドは残念ながらハードフュージョンという代物で、彼のギターも全体的には押さえ気味です。ところどころでは例の超絶技巧を披露してくれますが、事前の期待値からは大きく下回っています。ショーン・レーンは、ギターはもちろん、キーボード、ドラム、ベースのすべてを演奏。プロデュース、アレンジ、エンジニアもすべてを担当するなど、まさに彼自身の世界を構築していますが、クラシックやオペラを模した楽曲などは、スーパープレイを期待するマニアにとっては退屈以外の何ものでもありません。彼の多面的な音楽性を知る意味では、資料的な価値はあると思いますが、気合いが空回りしているように思わざるを得ません。聴きやすいといえば確かに聴きやすいかもしれませんが、多くのファンが求めるものは違うところにあるのではないでしょうか?
ショーン・レーンのソロを聴くのなら、個人的にはファンク色を全面に押し出した力作「The Tri-Tone Fascination」のほうが数段お勧めです。しかし、残念ながらこの2枚と唯一のソロライブ盤を含めた一連の作品は全世界的に品薄で入手困難です。たまに中古CDが思いがけなく廉価で入手できますので、地道に探すしかないようです。
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