・「Yes 1969 原点 完成」
ジョン・アンダーソン(vocals), クリス・スクワイア(bass, vocals), ピーター・バンクス(guitars, vocals), トニー・ケイ(keyboards), ビル・ブラッフォード(drums) 1969年作
イエスと云えば「こわれもの」、「危機」あたりの評価が絶大すぎてこのデビュー作なんかはおざなりにされてる感もありますが、この一枚もデビュー作ながらすでに熟していて、むしろ完成されてると言っても過言じゃないぐらいの出来ですよ。英国の匂いがプンプンするポップな一枚ですが、キャッチーなだけじゃなくトラディショナルな部分と創作意欲満々な若い血が両方ミックスされていて一筋縄じゃありません。良い意味でロックバンドには勿体ないぐらいのアンダーソンの美声に、イエスらしいコーラスもあり、いうまでもなくリズムセクションは強力無比だ。
ピーター・バンクスの伸び縮みするギターが印象的な「Beyond and Before」で幕を開け、カバー曲の「I See You」へ、これなんかはどんな曲でもブラッフォードが叩けば途端に輝きだす典型例みたいだ。カバーといえば[6]の「Every Little Thing」はビートルズのカバーでコチラもブラッフォードが凄いです。前半のイントロ部分に即興演奏を足した形ですが、とりわけ凄まじい叩きっぷりに耳は釘付けです。まさに乱れ打ち。
そして[3]の「Yesterday and Today」&[7]の「Sweetness」はどちらもアコースティックなタッチのバラッド。アンダーソンの歌声はまるで純真無垢な少女のように美しい。とりわけ「Sweetness」はいつ聞いても泣ける。。
トニー・ケイの躍るタッチとピーター・バンクスの歯切れのいいギターによるアップテンポナンバー「Looking Around」。曲想が持つ意味深さに起伏のある構成、哀愁漂うメロディーが美しい「Harold Land」。朴訥で飾り気はないが後からじわじわ勇気が湧いてくるようなアンダーソンの個性が出てるオリジナル「Survival」と結局・・・全曲いいんですよ(笑)。
イエスファンとして勿論代表作を真っ先に聞いてほしいけど、この一枚にはイエスのルーツと原点があるので後の進化の過程を知る上でも是非是非聴いてほしいです。
・「イエス風サイケ・ポップ?は失礼か・・・」
69年発表の1st。6.はビートルズ、2.がバーズのカヴァーと何となく初期ディープ・パープルの作品とイメージが被る内容。CSN直系のコーラスとハードなギターを生かしたサイケ・ポップよりのサウンドを聞かせている。言うまでもなく本作には後に発揮されるプログレとしての魅力は薄い。しかしながら演奏、曲などは他の凡庸なサイケ系のグループとは一線を画しており、イエスと思わなければかなり楽しめる内容だと思う。1.は前述のようにモロにCSN風。2.ではピーターのジャズっぽいギターとブラフォードのドラムスがなかなか聞かせる。3.はメランコリックなメロディが美しいフォーク作。シンプルなアレンジが素晴しく、初期の名曲と言っても良いだろう。4.はトニーのオルガンが大活躍する従来のイエスに近い曲。6.はピーターのハードなギターとブラフォードの激しいドラミングからトニーのオルガンへ移行するドラマティックなアレンジがされているが、ヴォーカルが入るといたって普通。7.は美しいメロディとコーラスが聞かれるサイケ・フォークの佳曲。こういう曲が入っているからこの作品は無視できないのだ。
・「デビューにしてすでに怪物。」
60年代後半の甘いサイケ・ロック・ポップって感じで、YES的なプログレ作品ではありません。それゆえ、メロディの素晴らしさが前面に出ています。オルガンがフューチャーされている曲が多く、キラキラしたサウンドが特徴です。全曲佳曲ぞろいで、ワクワクするようなハッピーな曲ばかり。特に、7曲目のSweetnessはYESの中でも名曲の一曲だと思います。教会風なオルガンからスタートし、ベースのやさしいグルーヴ、天使のようなアンダーソンの高い声が聴こえてきて、ドラムのエイトビートと続く流れが気持ちいい。思わず、胸が高揚し涙がでてしまいそうな最後のサビ。何もいうことありません。感動する音楽の代表曲ではないでしょうか。YESというとプログレってくくられますが、どうして、どうして、デビューにして最高の名曲を作っているではないですか!
・「聴く価値あり」
イエスと言えば、「危機」、「こわれもの」、「ザ・イエス・アルバム」などがマスターピースとして世間では評価されています。しかし、これらの作品群に比べ、評価の低いこのイエスのファーストアルバムもひそかに素晴らしい出来なのです。確かにこの作品にはイエス独特の複雑な曲の構成はあまり見られません。しかし、タイトル曲を始めとして美しい曲がいい意味で原石のまま、コーラスや前奏などを効果的に取り入れてアルバムに収められています。一度は聴いてみる価値が十分あります。
・「最初にしてこの完成度」
ブラボー!このリマスターは大正解!なんかいままでトレブル目一杯あげてもちゃんとききとれなかった、ドラムのゴーストノートまでもビンビンとくるこの快感。ヘッドフォンできき込みたい。このバンド、最初からテクニシャンによるテクニシャンのためのバンドというか、カリカリしたギターもメンバーが代ろうが同じ。歌も同じ。ベースもそう。なんていうとマンネリか?と思われそうですが、叙情的なソフトな曲もあってそのバランスが絶妙。今の彼等とは少々手触りの違う、この作品の頃の彼等の決定盤、ういういしくって最高!
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