・「南部指向の名曲多し」
ストーンズの最高傑作など決められるわけがないが、スワンプ/カントリー路線が爆発したこのアルバムはその最右翼の一枚だろう。前作辺りから音楽性を変化させていたが、それが本作で結実したようで若干散漫だった前作と比べると更に完成度が高まったと思う。前作でブライアンが脱退しミック・テイラーが参加したが、それは演奏面で大きく影響しているだろう。1.は言うまでもない傑作だし、2.のカントリーっぽいバラードの味わい深さは絶品だろう。決してうまいとは言わないが、トレモロ、スライドのギターの素晴しいこと。3.もフィドルが入ってモロにカントリー風。4.はストーンズらしいロック曲だが違和感なく収まっている。5.も同様だかカントリーっぽいテイストは感じられる。7.もキースが歌うカントリー風のバラード。さすがにロンドン・バッハ合唱団が参加する9.は若干違和感もあったが、ホルンが入って牧歌的な雰囲気になると思わずなごむ。この名作を締めくくるには良い曲だろう。アル・クーパー、レオン・ラッセルらがゲスト参加。
・「やはり最高傑作!」
「ストーンズの最高傑作とは?」と聞かれると活躍期間が長い(というか今もって現役でっさかい)ので困るんですよね。僕はこのレコードはテンイヤーズアフターの「SSSSH」と一緒に買った記憶が残っている。時は1970年の春でした。ゲストプレーヤーがスゴイでっせ。ニッキー・ホプキンス、ライ・クーダー、リオン・ラッセル、定番ボビー・キーズ、これも定番イアン・スチュアートそしてなんとアル・クーパーです。時代ですねえ。アル・クーパーですよ。何でやねんって当時思ったもんです。アル・クーパーの才能を借りたのか?って思ったくらい当時のアル・クーパーの評判は高かった。でも、やはりストーンズのアルバムになっておりました。ブライアン・ジョーンズの参加している最後の作品です。この後、かの不朽の名作「スティッキー・フィンガーズ」が出てくるのですが、荒波のロックシーンでストーンズは大丈夫か?という心配を見事に跳ね除けてくれた歴史的意義を考慮してこれをストーンズの最高傑作として推します。
・「濃度No.1」
1曲目の怪しげなイントロで始まるギミーシェルターから最後の無常の世界まで、ストンーズの持つドロドロ感が溢れかえっているアルバム。どの曲の演奏も緻密で、本作でキースのギタリストとしての才能が見事に開花したと思います。曲も様々でアメリカ南部を思わせるカントリーやブルース、ゴスペルなどを見事に取り入れています。最後まで盛り下がることの知らない本作は、是非音量を上げて聴いて欲しいです。音量を上げるとより一層ストーンズのブルージーな演奏に引き込まれることでしょう・・。
・「完成されたアルバム」
一番初めにストーンズのアルバムを購入したのはこの一枚からであり、今でもストーンズならコレ、と言える。曲単位ならもっと好きな曲があるが、アルバム単位ならばコレである。終始肩に力も入らず、リラックスして聞ける。ストーンズは仲間を失っても邁進し続け、このような作品を残していった。ここから僕はストーンズの後を追いかけ始めた。
中身も文句無しだけれど、ジャケットもなかなかのもの。
・「世紀末の邪教的混沌」
1969年はある意味2000年より世紀末的雰囲気に溢れていたのではないかと思う。オルタモントの悪夢によってウッドストックの張りぼての平和も崩壊し、行き止まりの見え始めたベトナム戦争がより終末観を煽っていた。そんな中リリースされた本作、不吉な予感を漂わせる"Gimmie Shelter"が強烈。メリークレイトンの剃刀のような声が「強姦、殺人、洪水」そして目に見えない恐怖を募らせている。所詮独りでは生きてゆけない世の中の柔肌にメスを突きつけた表題曲、ブライアン譲りのブルースハープとテンポ変化が邪悪な「真夜中の徘徊者」を完璧に表現した6など、前作で香り始めたバンドの悪魔的イメージを強調する作品群である。これに対して過ぎ去る汽笛のようなボトルネックギターの音色も鮮やかな2や、聖歌の響きとファンキーかつドラマチックな展開の9、ほのぼのとした3がコントラストをなす。前作同様、キースのエネルギーの奔流が凄いが、多彩なゲストによる豪華な音もいいし、ミックの艶と張りのある力みなぎる喉がシンガーとしての充実を感じさせる。
前作よりも混沌とした構成は、有名なデコレーションケーキのジャケットにも現れている。崩れ落ちた裏面のケーキはいつ見てもぞっとするデザインだ。彼らの歴史中、屈指のヒット曲"Honky Tonk Women"がもし収録されていたらと想像すると、思わず鳥肌が...。そんな仮定話を抜きにしてもストーンズを代表する傑作の一つであり、素通りはファンであったら有り得ないと言える作品。
・「ストーンズ流スワンプの完成」
前作『ベガーズ・バンケット』からブルーズへ回帰といわれましたが、本作ではブルーズをよりアメリカ南部湿地帯的味付けしたと思われる名作です。
G.パーソンズやL.ラッセルの影響の強いカントリーもの、スワンプものが中心をなしています。「ミッドナイト・・」のような呪術的なブルーズもありますが、全編とにかく聞いて心地よい。ソングライティングもピカ1。
身体に染み付いたタバコあるいはバーボンの香りのようなアルバムです。ジャックダニエルのストレートと一緒にどうぞ。
・「パンク後世代にこそ相応しい」
ストーンズファンの宣うことが理解出来ず、尚かつストーンズの歴史的な名作と言われる諸作品を聴いてもピンとこない私ですが、この作品は例外中の例外です。とにかく全編に渡る不穏な空気が堪らない。血生臭い、黒魔術罹ったグルーヴに痺れること必至です。プライマルスクリームのボビーがかつて必死になって得ようとしたサイケデリアが、ここには恐ろしい密度で充満しています(彼はその後モダンな形で獲得しましたが)。プライマル、スピリッチュアライズド、マイブラ等のサイケデリア勢に衝撃を受けた貴方に是非お勧めしたい、永遠のモダンミュージック。
・「ケーキじゃダメだ、ぶ厚いビフテキにしろ。」
ストーンズのロックは熱い。真夏に食べる焼きたてジュージューのこってりしたビフテキのように。それにむしゃぶりつくのがストーンズファンの醍醐味だ。では、本作のこってり度をチェックしてみよう。
Gimmie Shelterは、まるでやかんの中で鳴っているかのようで繰り返し聴くとうっとおしい。隙間のないオーバーダビィングがこってりし過ぎで、サウンドからパワーを奪い取ってしまっている。Country HonkとYou Got Silverはストーンズらしからぬガッツのない悪い意味でルーズな曲。ストーンズがカントリーの中に埋没している。まるでどこかのアウトテイクのような出来で残念。
そしてもっと耐えられないのが、「無情の世界」で、これが本当にストーンズの曲として許されのだろうか。いきなり白人合唱団のコーラスが出てくるのがむさくるしいし、延々と繰り返される「一生懸命努力すれば、いつかは報われる」なんて歌詞も超うざったいサイテーの曲だ。タイトルチューンのLet it Bleedもエッチな歌詞が面白いだけの曲。
とは言え、世間様では名盤の誉れの高い本作には、やはり凄いブツがある。まずは、ジャンプナンバーのMidnight Rambler。ブルージーなハープをフィーチャーしたストーンズならではの名作。悪魔的なミックのボーカルに絡むタイトなギター。これは本当にアブナイ最高作だ。Sympathy For The Devilの続編とも言えるだろう。ロバート・ジョンソンのデルタブルースを見事に再生させたLove In Vain。スライドギターが美しい。ストーンズらしいガッツ溢れるルーズでチープなロックンロールナンバーのLive With Me。チャーリーのどたばたするバスドラが好き。ミックが跳ね回るMonkey Manも笑える。これはもしかしたらO.V.からのパクリではありませんかジャガーさん?
以上の曲でのこってり度には大満足。パワフルでスペーシーなサウンドをミックスしたグリンジョーンズも良い仕事をしています。
・「これがストーンズ、文句無く最高!」
30年来のストーンズファンですが、前年の「ベガ-ズ・バンケット」と並んでこれが最高傑作と思っています(刺激度ではバンケット、完成度ではこのブリードって感じでしょうか)。
シングルヒットは含まれてないものの、ストーンズらしい湿った粘り気のある音、ブルースをベースに独自に練り上げたタフな弾力が渾然と押してくる感じが最大の魅力。キースのあのルーズなコードカッティングが醸し出すぞくぞくするようなうねり、聴くものを誘い込むようなサタニックなミックのヴォーカルを軸に、一塊の音の濁流が渦巻いている独特の感触。
オープニングの「ギミ・シェルター」、ライブでのハイライトとなっていた「ミッドナイト・ランブラー」からシメの「無情の世界」まで全く捨て曲も隙もなしの9曲。自信と余裕を感じさせるずっしりとした手応えです。
ここ10数年、ストーンズにブランド化してしまったような寂しさを憶える自分にとって、ストーンズとはこれだと言える貴重な音の記録として大切にしている作品です。
・「ロック史上では彼らの最高傑作とも。」
戦のはじまりを告げるかの如く怒号のハープが轟き渡る。抑制を効かしつつも昂る熱い感情をにじませるミックのヴォーカル。メリークレイトンの歌唱は戦火を煽るように緊張感をかき立てる。Gimmie Shelter、最高の出だしだ。以降、ブルース、カントリーをストーンズ流にヒップにホンキートンクに聴かせてくれる。もうノリノリだ。その一連の流れに一部の隙もなく、殊、最後を締めくくりにかかるMonkey Manと無常の世界の美しさは感涙すら誘う。これほど男らしく格好いいロックアルバムが他にあるだろか?とても月並みで素朴だが、こういう単純明快な感想がぴったりだ。息が詰まるほどのキメ(注釈)がある。ベガーズバンケット、スティッキーフィンガーズと並んで中期の傑作である。注釈:「今日はばっちりキメてるね。」のキメである。
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