病める薔薇、或いは癒さない傷口
GILLE LOVES(アーティスト)
・「初心者向けではないか?」
収録されている曲はGILLE’ LOVES「薔薇色の吸血鬼」の曲やオムニバス参加曲のマニアックなアレンジによるツーテイクめが多い。1st「薔薇色の吸血鬼」を聞いてから、彼女の世界をもっと深く知るために聞くべき作品。「おやすみなさい愛しいきみ」は1stと今作を通じて現れる「薔薇に殺される」というイメージ、地中に生きたまま埋葬され、傷口に植えつけられた薔薇が根を伸ばし、体内に侵入し、僕の血を吸って成長し真紅の薔薇が咲き誇る、薔薇の根に抱かれて殺されゆく恍惚、彼女が憧れ続ける官能的な体験を表現した曲。最終曲「TANTUS AMOR RADICOLUM」も同じ情景を描いている。「悪夢の迷宮で悪魔は囁く」は1st収録「告白の城、贖罪の舘」の曲を解体し再びつなぎ合せた作品。歌詞は変えてあるが同じ情景。「皆殺しの天使、或いは人殺しの薔薇」は1st収録「BURNING WORLD崩壊の序曲」の曲の別テイクに語りを乗せたもの。1st「薔薇色の吸血鬼」の歌詞カードに添えられていた詩やボーナストラックだった「ある通話における薔薇への伝言」での独白の一部分が出てくる。比較することで過去の作品たちの相関性が見えてくるかも。「きみの腕の中に禁断の果実」はバウハウスの名曲「The Passion Of Lovers」のカバー。語りが入ったりして原曲とは全然違うがこれはこれで味がある。「世界一残酷な僕の女神」はマルセル・カルネ監督、ジャック・プレヴェール脚本の名作映画「天井桟敷の人々」をもとにした長い独白。彼女はバチストを酷く屈折した男として演じている。どこまでもサディスティックでマゾヒスティック。傷口を癒えぬようにいじくりまわす自虐的な快楽、悲劇に溺れるという快楽、それは絶望的なナルチシズム。「教えて夜の棲処を」は処刑されたクラリモンドの物語(男性に変えてある)。弱々しい高音が非常に美しい。歌から悲痛な語りへと落下し、再び歌が沸き起こり囁きへと変わっていく展開が実に素晴らしい。「夜の女王様」は次の曲「NIGHTMARE’S PAIR ROSES血と薔薇」の場面設定。ミラルカとカーミラのレズビアンをルシファーさんが一人二役で演じている。カーミラ役はかなり似合っていてカッコイイ。「NIGHTMARE’S PAIR ROSES血と薔薇」は1st収録「血と薔薇」のツーテイクめ。曲らしい曲はなく、不協和音の不気味なコーラスのみを背景にして歌うというアレンジが非常に前衛的。聞いていると誰かが背後に立っているような気がしてくる。
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