● Essential Recording 「90年代邦楽」
● "もうロックはいらない。欲しいのはこれだけ。"…でもやっぱりロックも欲しい!!
● 古今東西いい音楽
● 切ないモノたち
● エレカシアルバム
● 音楽系
・「文学青年の苦悩」
このアルバムはけっして音楽を楽しもうと思って聞くものではない。若き文学青年・宮本浩次の苦悩と悶絶するような叫びを聞くためにある。このころの宮本は年を取ることとそれにより自分が丸くなることを極端に恐れていた。「凡人」と言う言葉に象徴される「大人」になることを拒絶しようとしていた。しかし、世の中で生きていくということは、ある程度の妥協や協調性がなければならない。若き宮本も少しずつそういうことが分かってきたころだと思う。純粋に文学を愛していた宮本にとって、それは自らの「生」を否定するくらい辛いことだったろう。このアルバムは、理想を求め結局挫折した男の悲しい叫びを表現したものであり、宮本流の「反語」的表現はここにはない。宮本自身のかなり深いところにある自らの心を掴み取り「音声」によりぶちまけた詩集である。
・「若気の至り」
アルバムが発売される1ヶ月くらい前に、先行シングル「男は行く」がリリースされたと思います。私は当時高校生で、バイト先のレコード店でその曲を聴いたのですが、あまりの衝撃に笑ってしまいました。
その店では、毎月店頭用のBGMにカセットテープを編集していたのですが、私は無理やり「男は行く」を収録し、毎日聴いてました。何故か店長は文句を言いませんでした。そのテープには当時ヒットしていた「おどるポンポコリン」なんかも入ってたと思います。
アルバム「生活」が発売されてからは、毎晩とり憑かれたように聴きました。その素晴らしさは皆さんがレヴューされている通りです。いまでも気持ちがしっかりしていない時に聴くと、持って行かれそうになります。
毎日、「男は行く」をヘビーローテーションした努力も空しく、バイト先で「生活」が売れたのは、私が買った1枚だけだったと記憶しています。
・「強烈な説法」
凄まじい。圧倒される。でも日本人にしか伝わらないだろうなぁ、という感じがする。ブルースを通り越して説法である。達観したかのような宮本の個性が、これでもかとばかりに押し出されている。もはやクセどころの話ではない。楽器の音は極端に小さく、宮本の叫び(説法)ばかりが聞こえてくるのだ。歌詞は文学と化し、楽器はおろかメロディーでさえ、その詩を引き立てるための飾りに過ぎない。
宮本が徹底して歌うのは無為自然を根本に据えたような「生活」だ。コンセプトアルバムでもないのに、これほど一貫したアルバムは聴いたことがない。12分にも及ぶ「遁生」はその究極とも言えると思う。
絶対気軽には聴けないアルバムだ。傑作か駄作かすら判断が難しいが、つまるところ名盤なんだろう。ただ毎日聴くような代物ではなく、年に1、2度、頭を空っぽにして聴くべき一枚。
・「最高か最低か、問題作」
「カセットブックならよかったんだけどね」などと言う輩は、いったい何を聴いているのかと思う。が、言わんとしていることはわかる。いわゆる世間で言うロックというカテゴリーには当てはまらない作品である。
このアルバムはまずメロディがすごい。ロック、ポップスのメロディではない。そしてとても美しいメロディだ。次に詩が生々しい。永井荷風に憧れていた当時の宮本の古語文体と、丸っきり引きこもりな内容。そしてサウンドは、宮本のギターと唄以外はあまり聴こえないというバランス。宮本はこれまではそんなにギターは弾いてないので、ほとんど初心者である。一部ピアノも弾いている。
一枚聴き終えると、疲れるのだ。7曲だけど50分ある。しかし、絶望を救っているのはメロディの素晴らしさだ。
ソニーというバリバリのメジャーレーベルから、こんなアルバムを出したということがすごい。発売当時は(というか今日に至るまで)、全く話題にもならなかった作品。僕は「日本で初めてロックが産まれた」と思いました。このグシャグシャにひしゃげたアルバムを最高のロックとするか、最低の音楽とするかは聴き手次第。どちらかでしょう。
このアルバムがでて2年くらいして、ニルヴァーナの「never mind」が出ましたが、「生活」を知っている僕には何のインパクトもありませんでした。
星5つにするには抵抗があるが、このアルバムは23歳の若者の稚拙な情熱と圧倒的なメロディセンスの記録として、類を見ない作品である。
・「愚劣で無能でそれでも生きている」
この『生活』というアルバム以外にも、素晴らしいアルバムは当然ある。初期の頃に見られるロックンロール全開なカシマシも、レーベル移籍後のシンプルで洗練された曲も勿論大好きではある。でも、よく聞いたアルバムは、この『生活』である。もうどうしようもなく、退廃している『自分』が、自分の中にある人間なら否応無しにこのアルバムには反応してしまう。焦点の合っていない目で絶えず何処かを眺めながらこのアルバムを聞く。ボーっとして聞いていると、本当にあっという間に終ってしまうアルバムだ。
他のどんなものより、自分にとってセンセーショナルだったアルバム。
・「超怒級の問題作。」
「エレファントカシマシ」で鮮烈なデビューを飾り、ロッキング・オンの渋谷さんから「サザン以来の衝撃」とまで謳われた彼らも、セカンド・サードと売れなくなり、この4作目「生活」では、いよいよ契約も切られるか?というくらいまで売れなくなっていました。その後の活躍ぶりを思うと、当時のエピックの太っ腹に感謝です。宮本さんがギターを弾き始め、石くんをそっちのけでギャンギャン鳴らしながら、引き篭もり勝ちな青年の激しい厭世的独白をわめき散らしています。ところが、鬱の時に聴くと何故か心の底からエネルギーが湧いてくる不思議なアルバムです。当時は歌詞を見ないで全曲歌えるほど聴き込んでいました。目付きが危うかったかもしれませんが。愛だの恋だの歌った歌が好きな人は絶対に聴いてはいけません。
・「青年期の鬱屈と懊悩の塊」
私は最新アルバムの『扉』を知人に貰い、大ヒットした『今宵の月のように』位しか知らなかったエレカシをまともに聞きました。そこで38歳の宮本氏が紡ぐ世界に惹かれ、過去のアルバムを聞いたわけですが、『生活』の青年が成熟しながら歳を重ねると『扉』の壮年期の男性になるのだなぁと感じました。特にこのアルバムはポエトリーリーディングのように、バックの音を抑え、ひたすらにその歌詞の世界を作者(宮本)が感情のまま訴えているように感じました。若い頃に聞いたら、自己を重ね合わせようとするか、もしくは気になりながらも嫌悪するフリをするかどちらかだったと思います。そのくらい深く濃く重い青年期の迷いと鬱屈と懊悩を歌い上げた作品です。でも大人の私は『扉』の中の怒りや迷いや優しさにより魅力を感じているので、聞いていない方はそちらも是非!
・「ずんどこ人生賛歌」
もはや私は20代ではありませんし、しかも女ですが、 男と女では人生に対して感じる風味というか、感性はそれぞれに違うとは思いますが、根底のところでは同じという気がします。 『どぶ川を夕日が照らし、表面が美しくきらめく、ただそれだけを見るために生きている』と言ったような詩にカタルシス。 というか『それでいいんだ』と思いながら生きていたい、という気持ちが沸々と湧いてきて…。
・「宮本の鬼才がここにあります」
デビュー以来宮本の強烈な個性と詩的才能は一部の音楽関係者とファンにしか認められず、宮本自身最悪の状況の中で世に出た作品。暗闇の中から聞こえる苦悩の叫びのようでもあり、諦めの溜息のようでもある。苦悩と諦めに満ちた独白を絶叫する曲はヒットチャートとは無縁の存在。
しかし宮本の鬼才の全てを叩き込んだ「生活」は、誰もが持つ心の弱さや不安、後悔の感情を見事に抉り出し、増幅させる。聞き流すといった安易なスタンスを許さず、正面から対峙し宮本の一言一言を聞き手自身の苦悩として聞くことを強要する。
多くの人がエレカシから距離をおく理由の一つが不快感を感じるということだが、この不快感は触れられたくない自分の暗部をさらけ出されるからであり、「生活」はその究極の作品。!
しかし、ただ不快なだけでなく、それぞれの曲の音楽性は非常に高く、表現力・歌唱力・情景描写は素晴らしい。中でも「月の夜」は、はかなく美しい月光の情景と世捨て人の悲しい心理情景が見事に表現され、エレカシ最高傑作の一つだと思う。誰にでも勧められる一枚ではない。自分の人生と対峙したいと感じた時が、「生活」を聴く時だと思う。
・「ほろ苦いおもひで」
その昔、彼女に「これがええんや!聴け!」といって無理やり聴かせて「う~ん、わからんわ」と言われたアルバム。う~ん、そらわからんやろなぁ…理解者がこの世に何人いるか、そんなもんはどうでもいい!こんな暗い歌のどこがいいんだと聞かれてももうまく言えない。そんなことはどうでもいい!そんなことはどうでもええんや~~~~
どぅあ~~~~~~~~~
というかなり無責任なレビューですが、わかる人にはわかるんです。ええええそれでいいんです。強いて表現するなら「悩みもがく事の美学」かな…う~んわからん…
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