・「やっと手に入れた」
2ndの「ヘブンリィ〜」でノックアウトされ、それ以降の作品の濃密なクオリティの高さに圧倒され続けてきたわけですが、この1stだけまだ聴いていませんでした。ようやくここに聴くことができました。いやあ、七尾旅人の個性は最初から確立されていたものだったんですね。誰かと比較なんて出来ない圧倒的で独自な才能が、1stにしてほぼ完成されています。それでいて、メロディセンスもあり、素直に美しいメロディだなと思える曲を作っていることも、彼の音楽家としての魅力だと思います。それにしても、これだけの作品を作りながら、まだまだ知名度はあるとはいえない状況は、J−POPの悲惨な荒廃を感じずにはいられません。
ネット時代の配信・試聴などいくらでも良い音楽を知ろうとすれば、触れやすくなった時代、ただ音楽を消費するのではなくて、ぜひここに辿りついてほしいなと思います。誰にだって、志のある音楽とそうでない音楽の違いは聴いていくうちに分かると思います。
・「世紀の爆笑」
内容(「CDジャーナル」データベースより)またも登場、宅録系王子様。岡村靖幸に端を発したこうした系譜が、奥田民生のソロ・デビューをへて、より箱庭的な性格を強めてきたのを実感。民生ほどの揺るぎなさは、さすがにないが。これ以上ヴォーカルで格好つけるのは、やめたほうがいいと思う。
世紀の爆笑。
・「振れ幅がすごい前半が肝」
ヨーロピアンな一曲目に続き仏教的な二曲目、続いてジャジーな三曲目が来たかと思えばゴスペルな四曲目。ビートルズのグラスオニオンを彷彿とさせる不思議な五曲目。後半は耳馴染みの良いポップスが並んでいるように見えて、実は一筋縄でいかないクセのある曲たち。多種多様な音を繰り広げているが、それでいてどの曲でも声、歌が大きな存在感を持っている。特にルイノンでの歌は至高の芸術。ハイライトは中盤のガリバー2か。長尺で歌詞も一見カオスなこの曲だが、実はタイトルの意味をひもとくと表れる言葉に全てが統合される世界なのだ。しかし今の若いバンドマンたちならこの曲をこんなにスローなテンポでは絶対にやらないはず。表現したいものが体の内からあふれ出てくるような、そんな切迫したものを感じずにはいられない絶対的名曲。セピアカラーに統一されたジャケットや手書きの歌詞など、アートワークもアルバムの世界観を上手くサポートしている。これはぜひCDとして手元に置いておこう。絶対損しない。
・「これは・・・」
七尾旅人がどんな人なのか私はよく知らず、作品のうち聴いたのも現時点ではこれだけだが、彼の唱法が生理的になじめない人は結構いるかも知れない。私も、日本語として時折聞こえる部分はちょっと・・・だが、それでもこのアルバムに込められた力、濃密な雰囲気には尋常ではないものを感じる。メロディーも既出のものが多いが、一生アタマにまとわりつくのは間違いないと思う。
・「あぁ、七尾旅人・・・・」
「いや~、日本も捨てたもんじゃないな~。こんな天才がいるのかぁ、音楽やめよっかなぁ・・・」と言うのが正直な感想です。最初は彼独特の(予想以上の)声色に戸惑いました。よく天使と悪魔etcとか例えありますけど、ここまで・・・とは思いませんでした。(いい意味で)そして何より、曲調バラバラなのに捨て曲ないんですよね。#7のガリバー2を聞いた時の衝撃は一生忘れないでしょう。一生。この後も彼はガラリと作風を変えていきます。僕達をあざ笑うかのように。
・「声。」
友達の家でかかっていて、そのこが得意げに「これ、どんなヒトが唄ってると思う??」って聞いてきたので「女の人が2人。」って答えたら、七尾旅人っていう名前の男の子が一人で唄ってた。それがこのCDでした。声というか音。ひとんちにいきなり「音なら何でも拾ってしまう旧型のラジカセ」を持ってっておさめてきたみたいな、自然で不思議な音が詰まっている感じ。歌詞に『体液のまざったものが目一杯入ったペットボトルみたいな声』ってでてくるけどほんとそうだと思う。こんなの今まで知らなかった。この人の事を知らなかったのだから、当たり前だ。
・「未来へつながるアルバム。」
たぶん何十年、何百年たって音楽がどこまでも進化・変化しても通用する音楽だと思う。ジャズ・ロック・フォーク・・・などの音楽のかたちは全部七尾旅人につながるために発展してきたんじゃないかと思ってしまう。1曲1曲が壮大なスケールで描かれた名画みたいだ。 使い捨てみたいに次から次へと消費されていくメジャーシーンのアーティストには何万年かかっても出せない音と、唯一無二の声。それまでの音楽の構成・歌詞への慣れからくる違和感を通り過ぎれば(自分も含めて)、きっと新しいものを受け取れると思う。
・「壮絶!」
圧倒的な世界観と美しすぎるメロディと天使の歌声。
アルバムにちりばめられているのは、おそらく彼の世界の断片なのだろう。その豊かすぎる表現力は世界にも類を見ない。
自分の生涯ベストアルバム。
・「果てしないサイケデリア」
ぶっ飛んだ言語感覚と狂いまくった歌唱法。一度聞いたら耳を離れないねばっこいアメーバボイス。ポップで切なくて愛しいメロディ。そしてそれらがざらついた独特のアレンジで纏め上げられた、唯一無二の音響世界。オリジナリティというものがもし「どこにもないもの」を指し示すのならば、この七尾旅人のファーストアルバムは決定的にオリジナルだと言えます。本人も自らのホームページで語ってるようにジャズの影響を強く受けたらしく、このアルバムでも特にゆらぎを意識したリズム、ビート感覚においてそのフリーキーな魅力の萌芽を嗅ぎ取れます(それは3枚目「ハミングバード」で決定的なものになるのだが)。徹底的に未知なる調べとしてつむがれるその音世界に存分に浸ってください。まさしくここには歓喜と絶望が激しく同居しています。本人によると思われる歌詞カードのデザインも最高。
・「良い意味で、青臭い。」
七尾旅人ほど青臭く、日常の泥と幸福の中を歩くような、すごく単純に言うなら、青春を体現するアーティストはいない。ひとりで夜中に考えた、くだらなくて深刻なこと。好きな人と一緒にいる幸福感や、それと同時に味わってしまう疎外感。冷静、拘泥、前向き、夢見、怖い、好き。
そんな、誰もが過去、とくに10代のころ味わったことの在るはずの感情が「雨に撃たえば...!disc 2」を聞くと押し寄せてくる。ちょっと不快、でもいとおしい。
ごたくはともかく。七尾旅人はメロディが良いです。口ずさむと、癒されます。ストレス・イライラの解消にはもってこいだと思う。ぜひ購入を。
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