天城越え/夫婦善哉
石川さゆり(アーティスト), 吉岡治(その他), 桜庭伸幸(その他), 山田年秋(その他), カラオケ(演奏)
・「実力歌手・女性の儚さを持つ彼女がうたって、初めて生れる世界」
石川さゆりのうたの表現は完璧だろう。この曲のいくつもの魅せ所どれにも一つとして粗がない。声色の隅々まで繊細さと色っぽさ、艶かしさ、即ち女らしさが最高に輝いている。そして重要なのは、この物語・歌が最高に引き立つのは、彼女がその歌声をつとめるからゆえだ。あの色白で華奢な体格で険しい山を越えるという中に、土壇場での女の迫力があるし、一方で非常に心配したくなるではないか。これがもし天童さんの天城越えなら、何だか一気に超えられちゃいそうなのだ。
最も女らしさに息を呑む箇所は、確かに有名なサビも迫真の演技力と歌への気合で胸打たれるのだが、それよりも「火をくぐり」という場面に表れる決意性を秘めた歌声の中にある、しなやかさや、消え散ってしまいそうな儚さの表現力はもう、日本女性の美学さえ感じさせる。この曲は、曲自体とてもよく作られた教本のようだし、奥深い世界表現が要求されると思う。
・「天城越え-女の情念」
カラオケに行くと、誰かが必ず歌っているこの曲。〔戻れなくてももういいの…〕と、石川さゆりの歌声で言われたら、背中がぞくっとするに違いない…。女の情念というか、男に絡まる気持ちが、恐いくらい艶っぽい曲である。おやじどのの渋い声で歌っていただくのもいいが、きれいな女の人が歌うのを聞くと、ほう…と聞き入ってしまう。
味のある曲で、深い…。若者には歌いこなせないこの曲。人生経験を積んだ男女に歌っていただきたいと思います。
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