・「ヤンのサックスが最高!」
1曲目のイントロは、ドラムとベースがリズムを刻む様子は、まさに何かの儀式がはじまるかのよう。やがてヤンのソプラノが、ボボ・ステンソンのピアノの上で舞うように歌い上げる。3曲目はヤンのテナーが鳥のように、空高く高く舞い上がり、やがてスパニッシュのリズムに・・・そしてまた、ヤンのアドリブは空高く会いあがっていく。
ヤンのサックスが最高。そして、ボボ・ステンソンのリリカルなピアノも聞きもの。
・「憧憬」
静謐で、集中しきったテンスな展開が聴き手を引き込むヤン・ガルバレクの傑作ですが、なんとなく、景色を俯瞰で観ているのにとてもリアルに切実に迫ってくるような、熱を帯びれば帯びるほどクールに昇華されていくような感じの、とてもパーソナルで、かつ誠実に突きつめられた開放的な響きの作品だと思います。音に溶けた、ほとんど戦慄するような抒情性と、もう本当にあと少しで沈んでしまいそうな明るい夕日を眺めているような、静かに熱が失われていくような淋しさとか、しんとした諦めのような、そんな感じのひんやりとした印象に打たれます。個人的には、とても夕方のアルバムです。
・「北欧の風・氷のサックス」
20年以上前になる、それこそマンフレート・アイヒャーがECMを起こした頃にこのアルバムをLPで聴いた。そして今でもこのアルバムの持つ高いリリシズムが心の中にパルスを打って生き続けている。ガルバレクのソプラノ・サックスは今までのジャズにもクラシックにもロックにも無かった音をしていた。氷のサックス。吹けば北欧の海洋や山々の旋風が動いているような気がした。美しい。このアルバムは美しいの一言だ。特にタイトル曲「Witchi-Tai-To」は必聴。最近「Twelve Moon」の最後でもやっているけど格が違う。
・「刻まれるリズムと心の唸り声が冷気に響きます。」
透徹した静寂の中で、思い詰めた心の塊がリズムを刻みます。熱をおびはじめた心と体が冷気とふれて水蒸気となり、体を包み、生命の躍動が次第に短周期に変化し始めます。体内を循環する血は勢いづき、体と心が一体となり、取り囲む合理性の空間美を溶かし、色づけ、歓喜の音色を響かせ、感謝を捧げ、もとの静寂の中に帰って行きます。
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