● ぽっくり電話
・「演劇ロックの完成形」
76年の5th。フランスを代表するシアトリカルなバンドANGE。語りかけるような演劇的フランス語ボーカルが前面で活躍、演奏陣は効果音や舞台装置としての機能を重視。もはやジェネシスの影響とかあまり関係ない次元の、ロックテアトルと呼ばれる独自スタイルに到った傑作。英語盤も存在し、代表作とされることが多い。しかし、正直、これを代表作と呼ぶのはどうかと思う。特に、初めてANGEを聞く人には薦められない。フランス語が堪能な人でない限り、いきなりこれを聞いてANGEを好きになれと言ってもかなり厳しいと思う。ANGE最大の特徴「シアトリカル」という面が最も強く出た作品だが、その面のみが前に出すぎて、それ以外のANGEの魅力は遠くに霞んでいるように思う。とは言え、一度はまると抜け出せない奥深い作品。飛んだり跳ねたり、ヘナヘナ座り込んだり、囁いたり、童謡や子守唄を思わす語り口のボーカルが物語を引っ張り、演奏は緻密に背景を埋めていく。熱くハードな演奏も飛び出しくるが、今までのような「迫力・重厚」ではなく、「にぎやか」という印象。また、囁くように歌う場面が淡々と続くことも多く、慣れるまでは退屈に感じる部分もあるか。地中海を感じさせる陽気・明朗さが全体を覆い、祭囃子のような笛の音やハーモニカなど、かなり肩の力の抜けたサウンドが目立つが、その明るさの裏には皮肉や毒、更には達観したような表情すら感じさせる。最終曲「Hymne a la vie」は3部構成、約10分の大作だが、3部構成にした意味が分からないと思うほど緩やかで平明な展開。柔らかな歌声が響き、牧歌的な第1部。第2部はリズミカルに跳ね始め、フルートも舞う。ギターソロが小気味よくうなると、ボーカルは力強く叫び出す。そして第3部で一気に重厚な演奏が爆発!高く高くのぼりつめる。
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