・「デキシーチキンに負けない完成度」
ローウエル・ジョージ=リトルフィートという訳ではない。メンバー一人一人が才能溢れる優秀なミュージシャンである。ローウエルがギタリスト、ヴォーカリスト、ソングライターとしては6分の1強の役割を果たし、コントロールルームから裏方として全体をプロデュースしたのが本アルバムである。ソングライティング、ヴォーカル部門で目覚ましい活躍をするのがキーボードのビル・ペインとギターのポール・バレールだ。彼らのちょっとイカレタ歌詞とイナセなボーカルは聴けば聴くほどに味わい深くなる。ジェフ・マルダーとエイモス・ギャレットのコンビにも匹敵する程にシャレが効いている。演奏部門では、キーボードのビル・ペインが、ピアノ、オルガン、ムーグシンセイザーを操りアグレッシブなプレイでバンドを引っ張る。ヘイワード、グラッドニー、クレイトンのリズムセクションはより安定感を増したファンキーなビートでサウンドを彩る。フロントのペイン、バレール、ジョージを盛り上げる熱い一体感にグループとしての成熟を感じさせる。名盤デキシーチキンに勝とも劣らない完成度を誇る作品だ。それにしても本作とデキシーの曲の流れはよく似ている。Rmance Dance VS Dexie Chicken, All That You Dream VS Two Trains, Long Distance Love VS Roll Em Easy, Day Or Night VS On Your Way Down・・・如何でしょうか?聴き比べると面白いかも。プロデューサーのローウエル・ジョージの好みなのでしょうか。最後に入っているライブアルバムのWaiting For Columbusから持ってきたボーナスの2曲はやっぱり邪魔に感じてしまう。
・「若干マイルドになりつつも、まだまだ粘度の高いアルバム」
76年発表の5作目。3作目 (ディキシー・チキン) あたりと比べるとかなりマイルドになった印象があるものの、それでも従来のアクの強さは失っていません。リンダ・ロンシュタットが取り上げた2.は、かなりポップで中間部はジャズそのもの。全体的に落ち着いた雰囲気が漂っているのは、余裕の現れなのか?それとも度重なるアクシデントの結果によるものなのかは分かりませんが、この雰囲気も悪くないです。4.でシンセサイザー?と思われる音も聞こえてくるのですが、このチープな音が骨太の演奏の中に入ると不思議と違和感がないのですから不思議です。一般にローウェル・ジョージがやや後退し、ビル・ペインやポール・バレールが前に出て来たアルバムという評価のアルバムだけど、そうですかね?バランスはそんなに変わっていない気はしますね。
・「徐々にローウェルの存在感が...」
フィート初のリマスターで登場した本作、ネオン・パークのジャケでも最も個人的に好きなハリウッドを強烈にデフォルメしたイメージと、その内容の相乗効果により、他のアルバムにはない溜息が出るほどの独特の雰囲気を持った作品。
もともとの音質、音色でいうと、フィートの作品中最もクリアで整理されていて、リマスターで更にキレが良くなった印象。もしかすると、イーグルスあたりがビル・シムジクとクライテリア・スタジオで作り上げた強烈に分離の良いサウンドのイメージの源泉は、本作にあるのでは、と思わせる。
内容的には、もちろん豊潤で奥が深く、悪いはずが無い。ただ、ローウェルのファンとすると、本作以降にその存在感がドンドン薄くなることもあり、星的には1つ減とした。
ローウェルが提供したのはたった3曲。Trk3はシンプルで余韻あるスライドギターと切々たる歌声が感傷的なバラード。Trk6はセカンドラインを使った横揺れする彼お得意の曲。ただ、やや新鮮味に欠ける。エンディングを飾るTrk8は本作の全体イメージにローウェルの方から寄り添ったともいえる軽快でシャープなノリが聴きやすい1曲。
しかし、本作の特徴は、ビル・ペインとポール・バレールの著しい台頭にこそある。ジャズやプログレの影響をあらわにしたその作風は次作で、ローウェルに「ウェザー・リポート・コンプレックスじゃないか」とライヴでは演奏を拒否までされた「Day at the Dog Races」をうみだすことになる。
そうはいっても、個人的にはポールのポップなメロディをローウェルが表情豊かに歌い上げる大好きなTrk2(ローウェルの追悼コンサートでリンダ・ロンシュタトが熱唱)、ポップで聴きやすいTrk5など十分魅力的な新機軸もあり、同じ「多彩な音楽性の融合」を目指すにしても、それまでの「ガンボ」(ごった煮)という語から「フュージョン」という洗練された方向性を志向していくフィートの過渡期の姿を生々しく捉えた作品と言えると思う。
・「ラストでなくて良かった!」
と、私は本当にそう思った。これだけの名盤を発表し続けているフィートの「ラスト」でなくてホントにそう思った。が、内実は、どうも「ラスト」状態だったようだ。1stから一貫して素晴らしい作品を出しているにもかかわらず、すべて、商業的には完全敗北。度重なるメンバーチェンジ、解散話、ドラッグ漬けの日々と、もう、いつも「ラスト」状態だった。今回も前作の後、大々的なツアーを行い、それなりの評判も得、前作はそこそこ売れたのだが、十分なものではなかった。ローウェルの疲れもかなり限界に来ていたようで、この5thでは、かろうじてプロデューサーとして名前を挙げているが、3曲しか作曲していない。また、演奏面でもほとんどボーカルしか担当していない。そして、アルバムジャケット裏面には曲のクレジット、歌詞が載っているが、「high roller」と言うポール・バレルの曲は、ボツにしたと、マジックで「maybe next time」と大きく書いて消されている(紙ジャケが楽しみ!)。そして、タイトルは「ラスト・レコード・アルバム」である。相当モメたようである。 と、ここまで悪口を書いたようであるが、本作は前作に続く作品らしく、また、ツアー後のアルバムらしく、演奏面では非常にタイトで十分な落ち着きを聴かせる曲がそろっている。これまでフィートは、クリエイティヴィティという点では文句のつけようが無い作品ばかりだったが、演奏と言う点では少し不安な点もあったのである。が、ここでは本当に「タイト」と言う言葉がぴったりな演奏である。 さらには、ビル・ペイン、ポール・バレルらが作曲、演奏面でもこれまでより表に立った事でローウェルの暴れん坊な曲、演奏とあいまってバンドとして非常にいい味を出している。 こういったファンキーな演奏に重きを置いた点、ヴァラエティな曲がそろっている点を前面に出しているところは、後期フィートを象徴するもので、もはや「ディキシー・チキン」のフィートではないという事を考えれば、非常に良い作品である。私は「ロング・ディスタンス・ラヴ」で何度泣いたか知れないぐらい。そんじょそこらのバンドが作れる作品ではないのだ。 でも、結局、また、売れなかった。ウーン。
・「リトルフィートのすべてがリズムのウネリの中に詰め込まれた大傑作。」
リトル・フィートの5作目。この音を言葉で表すのはかなり難しい。要素としてはロック、ファンク、ブルース、ジャズ、プログレ、がすべて吸収され、リズムに飲み込まれる感覚。初期のローウェル・ジョージが引っ張るスタイルだけでなく、ビル・ペインのうねるキーボード、ポール・バレールのギター等聞き所は多く、それぞれの楽器がクリアなミックスも素晴らしいのですが、個人的にはリッチー・ヘイワードのドラミングが感動的です。この独特のうねりを醸し出している最大の貢献者は彼ではないでしょうか。このメンバーでこのタイミングでしか成し得なかった素晴らしい作品です。(1975年)
・「最後の傑作」
リトルフィートの初期傑作は、アーシーでブルージーなSailin' Shoesだ。ニューオーリンズR&Bの香りが濃厚に漂う中期傑作は名作Dixie Chicken。これら2作で、シンプルかつファンキーなサウンドを見事に作り上げたのが、リズムセクションの中心人物であるビル・ペイン(keyboads)とリッチー・ヘイワード(drums)だ。その上に乗って映えまくったのがローエル・ジョージのボーカルとスライドだった。前記2作と肩を並べる後期傑作の本作では、ペイン、ヘイワードがポール・バレー(guitar)と一緒になって、ジョージと肩を並べる。ジョージのボーカル、スライドと見事に一体化していたファンキーでレイドバックしたリズムセクションは、ここでは以前より少し強い自己主張をし始めたと言う感じだ。バンド全体のアンサンブルが強調され、各楽器の音が良く聞こえるミックスがすこぶる気持ち良い。初期の一本気なシンプルでヘビーなサウンドは消え、ファンキーでカラフルなサウンドは、ジャージーな香りをも漂わせる。サウンドは多様化し、より細分化されたリズムと、複雑なコードチェンジを持つようになった。洒落の効いたソングライティングは冴えまくり、リトルフィートの個性を際だたせている。重量級ではないがバレーとペインの小気味良く味のあるボーカルが、グループに新たな魅力を付け加えている。聴き込めば聴き込むほど味が出てくる作品に仕上がっていると思う。
・「タイトルでギョっとしたアルバム」
最初タイトルでギョっとさせ、裏面の歌詞に「Hi Roller」をのせて"Maybe Next Time"と書いてファンをほっとさせた作品。でもある意味「Last Album」でもありました。この作品からLowellがグループの前面から一歩引き始め、PaulやBillのいわゆる洗練されたPopさが前に出て来はじめます。Lowellにとって自分の思うとおりやっていたグループのラストアルバム。
泥臭いねばっこいFeatの音楽がこのあたりから急カーブを切り始める。でも一般のファンにはその方が聴きやすくなっていったというのも事実でしょう。最後についているボーナスは「Waiting For Columbus」が一枚CDに編集された際にカットされたもの。今はDelux Edition等できちんと聞けるため今となっては意味無しのボーナス。
・「最初にして「最後」のアルバム!!」
タイトで骨太なリズムセクションをバックに、抜いた音色のギターが 緊張感と癒しを加味しだし、アルバム全体の雰囲気を決定ずけている。 それぞれの曲はある程度聞き込まないと味わえないかも。 カルフォルニア、ニューオリンズ、ローエル・ジョージを越えた、 LITTLE・FEATの最高傑作。
・「フィーツの「アビィ・ロード」」
大成功だった前作の路線を継承することなく、リトルフィートは、通算5作目となるこのアルバムで、大きな方向転換を図ります。その背景には、ビリー・ペイン(key)、ポール・バレア(g)の成長と、この2人のジャズ指向があったようですが、ローウェル・ジョージ、そして、彼らの生みの親レニー・ワロンカーの好まないものだったようで、バンド内の不協和音を決定的なものにしてしまったようです。しかし、アルバムの完成度は、ここのメンバーの才能が存分に発揮された、前作はもちろん、前々作「ディキシー・チキン」にも劣らない素晴らしさだと思います。
そんなふうに振り返ってみると、このアルバムは、ビートルズの「アビィ・ロード」の多くの共通点を持っているような気がします。ジャケットに描かれ㡊??のはアビィ・ロードではなく、ハリウッド・ブールヴァードですけれども‥‥。
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