・「ヒット作"4"に負けず劣らず」
個人的には'80s初期のロック系作品の中では、そのハードさとポップさの絶妙のバランス、全曲捨て曲なし、という点においてフォリナーの"4"はお気に入り作品でした。勿論、作品自体もヒットした訳ですが、そうなれば次作へのプレッシャーがあるというのはフォリナーに限らず全てのアーティストに共通する事項かとは思います。そのフォリナーが当初トレヴァー・ホーンのプロデュースで本作('84年作)に着手しながらも、最終的にはアンソニー・サドキンにそれを任せた背後に何があったのかは、ある意味興味が尽きない所ではあります。結果論からすれば、本作からは[2]、[3]を含むヒット作を輩出した事でA.サドキンの手によるプロデュースは成功だったと言えるでしょう。前作のポップさはいい意味で影を薄め、AOR以上ハードロック未満(別段、"未満"という言葉をネガティブに捉えていただく必要はありません。単なる表現の一つです。)の中道をズドンと突き進むようなスタイルに'80sロックの輝きを見て取る事ができます。いつもながら"うまいなぁ"と関心するミック・ジョーンズのギター捌き、グッと深さを増した楽曲にフィットするルー・グラムのvoもよく通っていると思います。
・「ゴスペルバラードが受け止めた「4」後の重圧」
破格の大成功を収めた後の作品は、多くのバンドが苦難を強いられているが、このアルバムは地味ながらも健闘した方ではないかと思う。そう思えるのはやはりバンド初の全米・全英No.1を記録したI Want to Know What Love Isの印象が強いせいだろう。波のように押し寄せる合唱団の歌声に偽りのない「人の心」が強く感じられるこの曲は、自然な「音の揺らぎ」に溢れており、しばしば売れ線狙いと揶揄されたバンドにとっても、その言われは忍びないと言える名曲ではないだろうか。
密偵を媒介にしたコンセプチャルなこの作品、バラード4曲(tr.2.3.8,9)、AOR風の2曲(tr.4,7)、ハードロック4曲(tr.1,5,6,10)でバランスよく構成されているものの、Waiting For a Girl Like Youに似たリフを持つDown On Loveを筆頭に、シンセ系統の音が増えロック色が後退している印象が強い。そうは言っても、重量感と速度、これにキャッチーなサビが絡む典型的なフォリナースタイルの巻頭曲や、往年のキンクスを彷彿させるギターリフと大きな縦ノリが豪快に躍動するReaction to Actionでロックバンドとしてのツボを押さえているのは流石。とにかく、こうして紙ジャケットで再リリースされるのは純粋にうれしいものです。
・「思い出す古き80年代」
まさにMTV時代のど真ん中で製作され、ルックスや若さの要素の無い中、ベテランとしての貫禄を見せつけたフォリナー全盛期の快作。
ゴスペル・クワイアとの競演とルー・グラムの熱唱が感動的な全米1位のTrk3、ミック・ジョーンズ独特のメロウなTrk2あたりのシングルヒットも懐かしい。
しかし、今虚心に聴くと、シングルヒットした前述の曲やTrk7、Trk8、Trk9あたりのAOR的なバラードなどに、かなり当時の流行のシンセ音が全体に過剰で、もう少しオーガニックさがあれば普遍的に聴かれただろうと少々残念な気もする。
またTrk1やTrk5、Trk6あたりのハードな曲が出来として今ひとつで、ギターソロなどには、当時のフラッシーなテクニック満開の時勢にミックのオールドなスタイルが順応しきれていない事が見えてしまう。
そういう意味でフォリナーを時代が良くも悪くも時代が飲み込んだ時期の作品といえるかもしれない。純粋な出来は星4つだが、その時代への飲み込まれ具合を勘案し星1つ減。
しかし、紙ジャケ再発の面では、表の「F」の文字がエンボス加工されていて付加価値を感じるので、星1つ追加で、最終的に4つ星とする次第。
・「オーソドックスなハードロック」
フォリナーって日本じゃまるで人気ないけど、アトランティック・レーベルでは、レッド・ツェッペリンに次いで売り上げ第二位なんだとか。特徴というか癖がないぶん日本では受けないのかもしれないけど、私は好きです(特にファーストが)。「アイ・ワナ・ノウ」は必聴か。
・「ポップ化により手に入れた大成功と衰退の始まり」
80年代の「音」を代表する作品。1.5.6.10.と元気なロック・ソングを配置しているがアレックス・サドキンによる洗練された音作りによって完全な当時流行のポップ・ロックに仕上げられている。シングル3.8.や4.9.には前作までには無かった「あか抜けた音作り」が楽しめる。シンセサイザーによって支配されたアルバムは、それまでのギターリフ主体だったサウンドイメージを塗りつぶしているが、この作品だけを評価するのであればマイナス面とはならない。ハイライトはBのゴスペルボーカルをフューチャーした大ヒットバラード。ルー・グラムの憂いのある熱唱には胸が締め付けられる。あまりのインパクトに彼らの他のヒット曲がかすんでしまったのは余計な結果か。とにかく一度は歌詞も含めてじっくり味わって欲しい。しかしこの成功と引き替えに、ロックバンドでは無くなったことが原因となって衰退していったのは誠に残念である。
・「このアルバムは悪くない」
このアルバムは、3曲目がいいとのコメントが多いです。非常に売れましたが、私はあまりこの曲は好きではありません。トータルで悪い曲がないのでいいと思います。1,5,10曲目なんかのタイトで聞きやすいロックが若いころ耳にすっと入ってきました。アルバムとしては、4枚目と並んで一番いいのではないでしょうか。
・「ジャケ買いをしたアルバム」
これほど「ドキッ」とするアルバムもなかった。文字だけでこれだけ衝撃的モノが出来るとは思わなかった。3曲目の素晴らしさに再び打ちのめされた。LPの大きさだと本当にビックリするジャケットだった。
・「アルバムとしての出来は前作の方が優れていますが、、。」
アルバムトータルでは前作の方が優れていますが、3一曲で星5つです。'80年代にアメリカのロックグループが残した楽曲の中でも出色の出来ではないでしょうか。私以外の方が書かれているレビューはもっともですので、あまり追加でほめ殺しても仕方ないんですが、実はこの曲モータウン系のアーティストの殿堂として知られるアポロシアターの記念コンサートで、ラストのラスト出演者全員による合唱、メインヴォーカルがダイアナ・ロスという設定で歌われています。この映像の寸評には、なぜこの曲をラストに持ってきたのというようなコメントがかなりありました。私も見てて、なんで?と思いました。それだけいい曲と前向きに考えています。この映像ですが、他にもいいアーティストがいっぱい出てますからぜひご覧になってください。
・「「アイ・ウォナ・ノウ」が素晴らしい!」
フォリナーが「4」に続き3年半ぶりに発売したアルバム。1984年の作品。何といっても③「アイ・ウォナ・ノウ」が素晴らしい。アルバムとしては「4」で頂点にたったフォリナーが、漸くシングル曲で全米NO.1を獲得した。重厚でドラマティックなバラード曲である。個人的には①の「トゥース・アンド・ネイル」が大好き。オープニングに相応しいミック・ジョーンズの煽動的なギターで始まる曲。格好いい。ロック・ファンにはお薦めなアルバム。
・「キーボードをフィーチャーした新境地へ!」
4枚目のアルバムで頂点を極めた後、当時イエスの「オーナー・オブ・ロンリー・ハート」のヒットで注目を浴びていたプロデューサーのトレバー・ホーンに食指を立てた彼らだったが、一緒にレコーディングはするものの、なぜかその出来に満足せず、それをボツにしたあげくに新たなレコーディングを行い、このアルバムを完成させたと伝えられている。で、その出来だが、キーボードを中心に作り上げられた曲が前作よりかなり多い印象を受ける。その分、アレンジも多様化し、アルバムの中で際だっているのが「アイ・ウォナ・ノウ」である。ゴスペル調のクワイアを使ったこの曲で念願のシングルチャートのトップに輝くと共に、
R&Bの長い伝統を持つアトランティック・レーベルでの確固とした地位を築くのであった(実際にはそれは瞬間的なものでしかなかったが)。
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