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▼アメリカン・サイコ:詳細

アメリカン・サイコ

アメリカン・サイコ
メアリー・ハロン(監督), クリスチャン・ベール(俳優), クロエ・セヴィニー(俳優), ウィレム・デフォー(俳優), ジャレッド・レト(俳優), リース・ウィザースプーン(俳優), ブレット・イーストン・エリス(原著)

▼クチコミ情報

・「2000年に作られた87年が舞台の作品。残虐がテーマではなく、空虚なNYのトレーダーを通して現代を鋭く風刺した作品
 2000年に作られた作品だが、舞台は87年ということを知らずに見たので、俳優陣を見ながら、いったいいつの映画だろうかと混乱してしまった。こんなパターンは初めてだ。

 最高級の服と美食、住まいに身をゆだね、ほとんど潔癖症と思われるほどの自分の体と自分の持ち物に対する執着心。それに対し、他人を見下すことだけによって自分の存在を認めることの出来る偏狭な自我を感じ、空虚な自分にいたたまれなくなり、殺人という狂気へと突き進んでいく。

 原作を読んだわけではないが、解説を見ると、原作は残虐シーンが話題となり相当な反発があったようだが、本当は時代の表面的な風潮を批判するのが本当の意図であったようだ。映画の最後のシーンでレーガン大統領を非難する部分があるが、ここに作品のテーマが凝縮されているようだ。

 今のニューヨークのトレーダー達も、あそこまでブランドに執着はしてないだろうけど似たような連中なのだろうと思う。裕福になるほど心は寂しくなっていくという典型的な教訓だ。

 映画のなかで、時々主人公のパトリックが「ビデオを返しにいく」と言うシーンがあるのがおかしい。あんなにお金持ちなのにやっぱりレンタルビデオを使う必要があるのだろうか。それと、音楽評論を人に無理やり聞かせるのもクラシックではなくポップスなのが80年代のアメリカのサイコだ。これがクラシックだったらレクター博士と重なってしまうところだった。

 最後に、服はセルッティにスポンサーになってもらっているくせに、映画の中では一言もセルッティの名前は出てこない。よくこれでスポンサーを引き受けたものだ。

・「愛らしいサイコ
女性監督だったことにびっくり。でも言われてみると、サイコキラーのお話にどことなく暖かいものを感じるところは女性っぽいかもしれない。

薦められて見たのだが、サイコサイコってほどサイコじゃなくて、う〜〜ん、何つーか、人間味溢れるサイコって言うんですか?(何だそりゃ)

完璧なエリートヤッピーが殺人の喜びに目覚めて売春婦やホームレスを殺しまくって、最後は自分で自分を追い詰めるけど罪も認められなくて悲劇的な状態のまま終わる・・・・んだが。だって仕事の喜びも成功もないみたいだし〜、全然他人に名前を覚えられないし〜、他人の名前もあやふやだし〜、一昔前の貴族のような生活なんだよな。現代の病巣ってよりも古典だ。

他人の名刺の趣味の良さに顔面蒼白になってしまうところや、殺人を犯す前にアーティストに対する薀蓄を怒涛のように話すところなど、愛らしさたっぷりでした。

主人公パトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)を訪ねる探偵キンボール(ウィレム・デフォー)が不気味さで圧巻なのだが、これはもうウィレム・デフォーなので致し方ない。

・「バンカーの実態?
投資銀行における株式のセールスを描いたのが「ウォール街」なら、投資銀行におけるバンカー(投資銀行部門の社員)を描いたのが「アメリカン・サイコ」だという声がよく聞かれる。作品としての優劣はともかく、この映画がどこまでこの世界を忠実に描けているかを検証してみたい。

主人公、パット・ベイトマンはハーバードカレッジ、HBSと来て、Pierce & Pierceという投資銀行のVP(課長レベル)を務める27歳。この年でMBAまで取って投資銀行のVPになるのは、飛び級でもしているか、親の力だろうと思われるが、同僚のティモシーらもVPなところをみると、M&Aに特化したこのブティックファームの昇進は早いのだろう。フィッシャーをRothChild(実在する投資銀行)からもぎ取った、なんて表現も登場することから、おそらく彼等はカバレッジバンカー(投資銀行部における営業)。ここまでは何とか納得できる。

ベイトマンの仕事について作品中、このベイトマンは全く仕事をしない。仕事中にクロスワードをするかと思えば、書類一つない机に足を組んでTV(CNBC?)を見たりしている。昼間からハリーズというバンカーや弁護士の溜まり場で酒を飲み、夜8時にはデートの予約を入れている。部下のアソシエイトにすべて仕事を振っているにしても、VPクラスのバンカーがこれだけ仕事をしないのはありえない。ディールフローがない状況ならなおさらカバレッジバンカーは全米を飛び回り、ピッチブック(営業資料)の作成で午前様のはずだ。

ベイトマンを初めとするバンカー達の並外れた物質主義についてバンカーのモチベーションの1つにお金が来るのは納得できるが、それと物質主義はリンクしない。実際、多くのバンカーはオーバーサイズのスーツを着て、体系はもちろんスキンケアなんて気にしていない(時計だけ異様にいいものを持っているなんてことはザラだが)し、選ぶ店は各ファーム御用達のお決まりの店だ。P&Pのようなカラーをもつファームがあるのも事実だが、バンカー等のより強いモチベーションは仕事における達成欲や危機感ではないだろうか。

映画ならではの誇張を差し引いたとしても、バンカーの生活と価値観を描くという点において本作は誤解を招く内容である。この作家が当時の極端なヤッピーという題材を扱うにあたってなんとなくバンカーという設定にしただけ、と考えるべきだ。

最後に、娯楽作品としては、名刺競争を含むポール・アレンへの嫉妬が非常に面白かったので、星4つ。

・「80年代が生み出した怪物
80年代の軽薄な一面を描いた作品としては「ウォール街」と並ぶ傑作。無機的でショーアップされた、際限ない欲望、自我のラスコーリニコフ的膨張と破裂を、パトリック・ベイトマンなる人物に仮託してクリスチャン・ベールが見事に演じた。

「ウォール街」はマイケル・ダグラスが金の魔性に溺れて沈んでいくが、本作の主人公は自我の魔性に身を焦がしていく。どちらも近代の価値観、合理主義を極端なまでに追求した結果の悲劇であることに変わりはない。近代主義が優勢思想を育み太らせ、やがて手をもてあまして暴虐を見て見ぬ振りをした重い事実が頭をよぎる。パトリックは何を憎み何を壊したかったのか。それがはっきり見えない不気味さが恐ろしい。

・「犯罪者のほとんどは貧困者
典型的なアメリカの異常殺人者の姿を描いているが、正直、こんな作品を作ることに何の意味が?“アメリカ人の富裕層には犯罪者が多い”という誤解を招きかねない作品だ。“犯罪者は貧困層に多い”ということを忘れないでもらいたい。アメリカでは、犯罪者の八割は貧困者であるという統計も出ている。だいたい、異常殺人者を擁護しているかのような内容のこの作品は、モラルの低下にもつながりかねない。

・「哀しきヤッピー
80年代後半のNYに暮らす裕福な27歳のパトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)を通して、流行に強烈な執着を見せるヤッピーたちが描かれている。ヤッピーとは30代前後で、高学歴で高収入もあるが自己中心的で、どちらかと言うと軽蔑的に用いられる言葉だ。主人公はまさにヤッピーの定義そのもののような人物。主人公は自らの薄っぺらい生活と心の中の深い闇をよく理解し、抑えられない殺人衝動にもがき苦しんでいる。何度か登場する「名刺交換」のシーンや自己陶酔シーンに代表されるような「笑い」を喚起するエピソードがいくつもちりばめられては居るが、全体的にストーリーはまさに「サイコ」。ウィレム・デフォーのなんとも中途半端な役柄が残念だった。

2002年のサラマンダーでは筋肉マン、2004年マシニストではガリガリの姿に。クリスチャン・ベールの鍛え上げられた肉体は、この作品(2000年)が一番「美しい」と私は思う。作品中で自らの肉体に見とれる気持ちも判る気がする。

・「おしゃれな生活にも注目
こういうシリアルキラーのお話で、ずいぶん前に「シリアルママ」というブラックコメディがありましたが、明るくコメディタッチなそちらに対し、「アメリカンサイコ」はもう、救いようのないほど、残虐で、血みどろ。私はそのあまりの過激さがどうしても受け入れられなかった・・・。しかし、ニューヨークのエリートビジネスマンの日常生活は大変興味深かったです。マンハッタンにある高級マンションに住み、おしゃれなスーツを颯爽と着こなす。入念なシャワーとスキンケア、エクササイズから始まる朝、夜は話題のレストランでディナー。これが現実のビジネスマンの日常だとは思いませんが、ファッション誌の特集にあるようなセレブな生活にちょっと憧れてしまいました。

・「クリスチャン・ベール
娼婦二人を相手にしながらも、姿見に己の肉体を顕示し悦に入るパトリック・ベイトマン

見下していた野郎が、思いのほか、イケテル名刺入れをもっていることにショックを受け怒髪天を突く勢いのパトリック・ベイトマン

返り血で顔面真っ赤になりながらパンツ一枚で逃亡しちゃうパトリック・ベイトマン

近代合理主義のもと虚構と虚勢にまみれて自我が崩壊する不気味さがイイ。人の振り見てわが振り直せ。現代人ならすくなからずパトリック・ベイトマン的な要素は持っているはず。幸せってなんだろう?

・「ただの感想です
 おそらく、若くして成功を収めた中流階級の主人公が、不慣れな上流社会に同化できず、「猟奇殺人」という形で劣等感を発散してしまう話。 

 しかし、彼は本当に人を殺したのか?浮浪者の犬を踏み殺し、友人の頭を斧で割り、美人の脳みそを食べたのか?

 ポイントはここにある。エスカレートしてゆく派手な殺しの映像は、観客の眼前でくるくる回されてゆくが、それはもしかしたら主人公の頭の中でくるくる回された妄想なのではないか。だから最後に、殺したはずの友人アレンと食事をしてた弁護士が現れ、サイコな落書きをした手帳を披露し、とうとうイカレてしまったエリートを映したのではないか・・・。

 『ギャッツビー』の狂気への転落と『シティ・オブ・グラス』の主人公の精神的崩壊を髣髴させる映画でした。

・「 「アメリカン・サイコ」。
 「アメリカン・サイコ」。この‘大きな’タイトルに隠された 「サイコ」、あなたならいくつ見つけられるだろうか??? 忙しくも「日常」を送るビジネスマンの日常が、 ある日、非日常に変わっていく。 しかしながら、 彼の「日常」は既に、 「幸せな人間」の日常としては、 「非日常」的だったのかもしれない。

 一人の猟奇的殺人犯の行動を追いながら、私たちは同時に、 ・自分の身近ではないが社会に実際に蔓延る犯罪と、 ・誰でも被害者になりうる「エブリマン」の恐怖と、 ・そして、自分の内側にたとえ小規模にでも起こりうる‘闇’の、3つの サイコ を目撃する!!!!!

この作品で描かれる‘アメリカ(人)のサイコ’、それは、自分の内側と、自分の外側、そして、自分の手の届かないところで発生する、3つの 現代社会の‘闇’なのだ、と私は解釈した。この3つを、どれも同じ直線状で描き出すことのできる映画といったら、レアであるといって過言でないだろう。

そして、この作品を、物好きだけが観る映画に留めなかったのは、クリスチャン・ベールの貢献によるものであるだろう。

アメリカン・サイコ
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